わい化剤の茎葉散布によるヤマモモの高品質安定生産

[要約]
ヤマモモの開花末期に、わい化剤(パクロブトラゾール)300ppmを茎葉散布すると摘果効果があって、果実肥大および成熟の促進による大粒果の早期収穫が可能となり、有利販売できるばかりでなく、夏秋梢の発生を促進することから翌年の花芽着床が向上し、安定生産が可能となる。
   徳島県果樹試験場 病虫科
    [連絡先]08854-2-2545
    [部会名]果樹
    [専門]栽培・薬剤
    [対象]果樹類
    [分類]指導

[背景・ねらい]

南四国の特産果樹であるヤマモモは、喬木性で結果性が激しく、表年の着果過多樹では果径が小さくなり、果実が成熟不全に陥って表年には高品質果実が少ないという現象がみられる。このため、高品質安定生産を図るには低樹高化と摘果や剪定等による着花調節が重要と考えられる。
そこで、わい化剤(パクロブトラゾール)の適用拡大のための一連の試験を実施した結果、平成7年11月に「新梢伸長開始期または剪定後新梢伸長開始期(但し、収穫60日前まで)500倍液1回」を条件に認可されることになった。しかし、500倍液(430ppm)では摘果過多となる恐れもあるので、前年に提示した好適濃度(300ppm)との比較を行った。

[成果の内容・特徴]
 
ヤマモモ成木(瑞光)に対し、開花未期(4月27日)にパクロブトラゾールを濃度を変えて茎葉散布した結果、以下のことが明らかとなった。
  1. 摘果効果:成熟期にみた樹相からも、430ppm区では明らかに摘果過多(着果不足)の傾向であり、1果平均重も300ppm区と変わらない(表1)。
  2. 成熟促進効果:430ppm区が300ppm区より着色開始がやや早いが、成熟期後半には大差がみられない(表1)。
  3. 果汁品質向上効果:完熟果実についてみると、昨年は無散布区との差も明らかでなかったが、本年は散布区で糖度が高い傾向にある(表2)。
  4. 夏秋梢の発生・花芽の着床促進効果:成熟期において既に散布区では摘果効果の高かった枝で夏枝の発生がみられ、更にその上に秋枝の発生するものもある。これらにはいずれも多量の花芽の着床がみられるが、着花量からみて300ppmの濃度で十分である(表3)。
  5. 以上のことから、ヤマモモ(果実用)の場合、適用濃度(500倍)より薄めの300ppm(700倍程度)で、安全かつ十分な摘果効果、隔年結果是正効果が期待できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 未だ、連年施用する場合の問題点(濃度や時期・散布量)は十分解明されていないが、残存果実量や収穫後の新梢発生量、翌年の着花量などを勘案しながら、さらに濃度の選定を加味することで、樹冠をコンパクトに保ちながら、大果・高品質果実の安定生産が可能であると思われる。

 [その他]
 
研究課題名:ヤマモモの高品質安定生産試験(わい化剤の利用に関する試験)
予算区分   :県単
研究期間   :平成5~7年
研究担当者:行成正昭、和田英雄、秋成昇、中西健小松島・勝浦農改セ)
発表論文等:なし
 
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