網袋を利用した卵接種による天蚕の野外簡易放飼法
[要約]
天蚕卵
を
ナイロンネット小袋
に収納し、野外の
飼料樹
に接種すると、屋内施設を必要とせず、卵の催青および稚蚕飼育を省略した
野外簡易放飼
ができる。稚蚕期の滅蚕歩合がやや高いものの、全般的に飼育成績は、従来の3齢以後放飼育と比較して遜色ない。
愛媛県農業試験場・蚕業支場・研究指導室 [連絡先]0893-25-3039 [部会名]蚕糸 [専門]飼育管理 [対象]昆虫類 [分類]普及
[背景・ねらい]
愛媛県における天蚕飼有は、作柄安定の観点から稚蚕期を屋内で人工飼料で飼育し、3齢期より野外の飼料樹に放飼する方法が一般的となっている。
天蚕の稚蚕人工飼料育は、椎蚕用の葉質および飼育時期に左右されず、稚蚕期の減蚕が少なく比較的安定した成績が得られるが、催青室、飼育室、人工飼料の調整室等の施設および飼育労力が必要であり、天蚕用の人工飼料が高価であることから経済性に問題を残している。
そこで、従来、屋内で行っていた、卵の催青および稚蚕飼育を省力化するため、卵を直接、飼料樹に接種(山付け)し、簡易で経済的な飼育方法を確立する。
[成果の内容・特徴]
天蚕卵の収容容器として、目合い2~3㎜、5×7㎝のナイロンネット小袋を考案し た。この小袋は卵が約200粒収容でき、そのまま飼料樹の枝に止めておけば、孵化幼虫は編み目をくぐって外へ出、枝をつたわって新梢へ定着する。
孵化歩合は屋内で催青した場合と差は認められないが、催青日数は、気温の低い5月で長く、孵化時期の巾もやや大きい(
表1
)。
飼育経過は人工飼料育に比べ1~2齢期間が長くなるが、3齢以後はほとんど差はない(
表1
)。
1~2齢期の滅蚕歩合は人工飼料育に比べやや高いが、これは孵化直後から2齢前半期にかけてのクモ類の捕食による。3齢期以後の減蚕歩合、繭質等にほとんど差はみられない(
表1
、
2
)。
[成果の活用面・留意点]
稚蚕期に柔らかい新梢が得られるように配慮する。
飼料樹は病原菌および天敵排除の観点から、冬期に樹高1m程度に選定し、選定枝および残葉は焼却する。
3齢期にムラ直しを実施し、飼育林全体に分散させる。
[その他]
研究課題名:天蚕病虫害防除試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成7年度(平成6~9年)
研究担当者:密田和彦・板谷俊宏
発表論文等:なし
目次へ戻る