チャツク付ポリ袋を用いたスターチス増殖法の省カ化

[要約]
容器にポリ袋、支持体にジェランガムを用いることにより、スターチスの培養に要する作業時間を20%短縮し省力できる。NAA 0.02㎎/リットル、BA 0.2㎎/リットルのホルモンを含む培地に、置床後多くの空気を封入して増殖し、BAを除いた培地で通気性のある容器に置床すれば発根する。また、培養物は多芽体、発根後の苗とも、5℃で2か月ずつ保存できる。
   愛媛県農業試験場 作物育種室
    [連絡先]089-993-2020
    [部会名]生物工学
    [専門]バイテク 
    [対象]花き類 
    [分類]指導

[背景・ねらい]

容器の洗浄及び植え出し時の苗洗浄を省力化するため、容器にチャック付ボリエチレン製(ポリ)袋(生産日本社、ユニパック I-4)、支持体にジェランガムをそれぞれ用いたスターチス・シヌアータ(ビーダーマイアー)の大量増殖法について検討した。また、苗の必要な時期が限られるため、より効率的に施設や労力を利用するために、短期間の低温保存技術を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. NAA 0.02㎎、BA 0.2㎎、ショ糖30g、ジェランガム2g/リットル を含むMS培地(21φ試験管)に、開花前の小花を置床し、20℃、3000lx、16hr日長で初代培養をすることにより、無菌植物体を獲得でき以下の増殖に利用することができる(表1)。
  2. 無菌植物体を同組成の培地に置床し、同条件で培養すると生長するが、ポリ袋に空気をできるだけ封入するとともに、容器が不安定なためシュートが倒れやすいので、置床後の取り扱い慎重に行う。生長した多芽体を1つずつのシュートに分割し、置床を繰り返すことによって増殖できる(表2)。
  3. BA を除いた培地に分割したシュートを置床して、同条件で培養すると発根するが、支持体にジェランガムを用いる場合は、通気性のある容器を用いる必要がある。発根した幼植物をポットに移植し、通常の管理を行えばほぼ順化できる(表3)。
  4. 5℃暗黒条件下で、発根置床前の生長した多芽体及び発根培養し発根済みの幼植物体とも、それぞれ2か月間の短期保存が可能である(表3)。
  5. 培養苗100本あたりの作業時間は、容器にポリ袋を用いることにより、ガラス容器に比べて培地作製が約20%、支持体にジェランガムを用いることにより、寒天に比べて苗洗浄が約60%、それぞれ短縮できる。また、全体でも約20%短縮でき、省力的な培養法である(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 市町村や農協における組織培養施設で、優良株の大量増殖による生産物の高品質化に利用できる。発根培養は置床10日後以降、盛夏期を除いて適当な冷却措置を行えば、温室またはハウスで行うことも可能である。
  2. なお、発根後ポツトに植え出す際には、苗洗浄を容易にするため、2日程度前に容器内に水を入れ、培地を溶液化する必要がある。

 [その他]
 
研究課題名:培養苗の順化率の向上と保存技術による計画的種苗生産システムの開発
予算区分   :国補(地域バイテク)
研究期間   :平成7年度(平成3年~7年)
研究担当者:清水光男、渡辺久、松本英紀
発表論文等:愛媛農試研報34(投稿中)
 
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