土壌の水管理および堆肥施用による洋ニンジン横しま症の発生防止
[要約]
洋ニンジン
の
ミニパイプハウス栽培
において、生育後半に土壌が過乾燥にならない
水分管理
や
堆肥の施用
を行うとニンジン表皮に
フェノール物質
が蓄積し難く、
横しま症
の発生を防止できる。
徳島県立農業試験場・農芸化学科 [連絡先]0886-74-1660 [部会名]生産環境(土壌肥料) [専門]土壌 [対象]根菜類 [分類]指導
[背景・ねらい]
徳島県の春ニンジン産地において、1986年頃からニンジンの根部表皮の皮目部から円周方向に左右に伸びたはちまき状の複数のくびれが生じ、くびれた部分の表皮がしばしば黒変する症状(通称:横しま症)が多発し問題となった。その後、症状の出にくい品種の普及により多発は免れているが、横しま症の発生は根絶していない。
当時、横しま症の発生し易い品種はフェノール物質を多く含有し、黒しみ症も発生し易いことが確認されたが、本試験では、土壌の水管理および堆肥の施用がニンジン表皮へのフェノール物質の蓄積と横しま症発生に及ぼす影響を検討した。
[成果の内容・特徴]
ニンジンの皮層部、飾部ともに、横しま症の発生程度が高いほど全フェノール含量が高く、特に横しま症発症部(はちまき状にくびれた部分)においてフェノール物質の蓄積が認められる。(
表1
)
ニンジンの生育後半に土壌がpF3近くまで乾燥しないように灌水を行うとニンジン皮層部で全フェノール含量が増加し難く、横しま症の発生を防止できる。(
図1
、
2
、
表2
)
生青前半に土壌水分が比較的多い状態で推移した後、生育後半に土壌が急激に乾燥すると、ニンジン皮層部の全フェノール含量が高くなり、横しま症の発生も多い。(
図1
、
2
、
表2
)
堆肥を施用すると、生育後期におけるフェノール物質の増加が緩やかになり、横しま症の発生を防止できる。(
図1
、
2
、
表2
)
根部皮層中の全フェノール含量が増加しても、土壌の乾燥等によりニンジンの生育が抑制された場合は、はちまき状にくびれた部分が目立ち難くなり、横しま症の見かけ上の発生は少ない。(
図1
、
2
、
表2
)
[成果の活用面・留意点]
ニンジンのミニパイプハウス栽培における土壌の水管理法に活用できる。
深耕や心土破砕によりニンジン細根の下層への拡大を図り、水分ストレスを受け難い根群を形成する。ただし、乾燥しやすい圃場では、深耕等による土壌の乾燥を助長しないよう留意する。
水分ストレス以外に土壌硬度、塩類集積等のストレスも負荷しないよう留意する。
本試験を行った圃場は、透水性が良好で保水性の低い土壌である。
[その他]
研究課題名:
洋ニンジン横しま症とフェノール物質の蓄積
予算区分:県単
研究期間:平成7年度(平成6年~7年)
研究担当者:梯美亡、黒島忠司
発表論文等:
①ニンジン横しま症発症部におけるフェノールの集積、第92回日本土壌肥料学会関西支部講演要旨集、1996年
②洋ニンジン横しま症の発生要因、徳鳥県立農業試験場研究報告、第33号、1997年
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