フローサイトメーターを用いた3倍体香酸カンキツの簡易選抜
[要約]
フローサイトメーター
を用いて4倍体スダチと2倍体香酸カンキツとの交配により得られた実生の中から
3倍体
の交雑実生を簡便に選抜する事ができた。この方法は今までの根端もしくは生長点の染色体数を数える方法に比べて、飛躍的に
選抜効率
を向上させることができる。
徳島県果樹試験場県北分場・母樹品種科 [連絡先]0886-94-2712 [部会名]果樹 [専門]育種 [対象]果樹類 [分類]研究
[背景・ねらい]
3倍体のカンキツは無核や大果など様々な優良な形質が期待されており、これからのカンキツ育種における主流の1つになると思われる。しかしスダチ、ユズ等の香酸カンキツは多胚性で交雑実生の獲得が因難なだけでなく、それらの選抜はすべて根端もしくは生長点の染色体数を数えることにより行われてきた。また、この方法は熟練した技術を要するばかりか1日に数個体しか選抜することができない。そこで生物資源研細胞操作研究室のフローサイトメーターを用いて簡便かつ効率的な3倍体個体の選抜を試みた。
[成果の内容・特徴]
若葉2・3枚から1%Triton X-100、140mM 2・mercaptoethanol、50mM NaHSO
3
、 50mM Tris-HCI(pH7.5)を含むbufferを用いて得られた粗抽出液をPropidium Iodideで染色し,フローサイトメーターで蛍光強度を測定することにより、2、3、4倍体個有の安定したピークを得ることができる(
図1
)。
4倍体スダチと2倍体の香酸カンキツとの交配により得られた実生321個体を供試したところ、98個体の3倍体交雑実生を得ることができた(
表1
)。これらの選抜に要した日数は10日であり、従来の染色体を顕微鏡下で数える方法と比べ約10倍の選抜効率である。
[成果の活用面・留意点]
フローサイトメーターの装置があることが前提となるが、香酸カンキツ以外の多胚性カンキツにおける倍数性育種において飛躍的に選抜効率を向上させることができる。
カンキツおよびそれ以外の作物においても、倍数性の識別が必要とされる様々な育種において選抜効率を向上させることができる可能性がある。
[その他]
研究課題名:
先端技術の活用による特産カンキツの作出と選抜育成
予算区分:県単
研究期間:平成8年(平成8年~13年)
研究担当者:竹中美香、徳永忠士
発表論文等:徳島果樹試験報第25号(投稿中)
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