栽培終了株の腋芽を利用したイチゴの育苗技術

[要約]

 
イチゴ栽培終了株から腋芽をかき取り、新葉を1枚程度残して小型ポット挿し芽する。挿し芽後は、遮光、ミストで発根を促し、発根後は、慣行の育苗法に準じた肥培管理を行うことで、慣行の育苗苗とほぼ同じ苗が生産できる。
愛媛県農業試験場・栽培開発室
[連絡先]089-993-2020
[部会名]野菜・花き・茶(野菜)
[専門]栽培
[対象]果菜類
[分類]指導

[背景・ねらい]

イチゴの育苗作業は長期間にわたる厳しい作業であるが、近年、小型ポットを中心とした省力育苗資材が開発されてきた。しかし、依然として収穫作業と育苗作業(親株床管理)とが重なり、一時的に重労働となる時期がある。
そこで、栽培の終了した株から次期作の苗を生産すれば、親株床が不要になるものと考えられたので、‘女峰’を用いて、栽培終了株の腋芽を直接小型ポットへ挿し芽して育苗する技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 栽培の終了した株からは、1株当たり約3本の腋芽が採れる。挿し芽時期が遅いと充実した苗が生産できないので、5月下旬頃までに腋芽をかき取る(表1)。
  2. かき取った腋芽は、市販の専用培土を入れた小型ポットに挿し芽するが、葉数が多いと発根数が多くなるものの、葉が重なり合って水がかからなかったり、葉の重みで苗が抜け落ちたりするので、新葉を1枚程度にして挿し芽する(表2)。
  3. 挿し芽後は、30%程度の遮光をし、日中1時間毎に1分程度ミストをかけて発根を促す。約3週間で発根するが、発根率株は50~80%程度である。発根後はミスト室から出し、以後は従来通りの管理をする(表1)。
  4. 育苗中に不時出蕾が見られるが、早めに花房を除去すれば8月以降には不時出蕾は見られなくなる(表1)。
  5. 以上の方法では、10a当たりの苗の育苗にかかる作業時間は約200時間であり、従来の専用親株から生産された苗とほぼ同質で、生産力もほぼ同じ苗が生産できる(表1表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 発根促進のためにはミストが必要である。
  2. ウイルス病や炭そ病、萎黄病に罹病している株からは腋芽を採らない。
  3. ‘とよのか,にも応用できるが、発根株率が‘女峰’よりやや低い。

 [その他]
 
研究課題名:イチゴの育苗労カ軽減と早期多収のためのクラウン利用育苗技術の開発
予算区分:地域要新技術開発促進技術
研究期間:平成8年度(平成6年~8年)
研究担当者:福田康彦、大林弘道、才木康義
 
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