クリ乾燥粉末の製造方法
[要約]
S、Mサイズのクリ
を
スライス
し、
送風乾燥
すると果肉から渋皮を分離しやすくなる。果肉を粉末化した
クリ粉
は、蒸しグリ様の
香気の保持
はできないものの、菓子類への利用が可能であった。
愛媛県工業技術センター・食品加工室 [連絡先]089-976-7612 [部会名]食品 [専門]加工利用 [対象]果樹類 [分類]研究
[背景・ねらい]
生鮮品として商品性に乏しく価格の低いS、Mサイズグリを用いた新しい加工方法として、クリ粉(クリ乾燥粉末)の製造方法を検討するとともに、これを用いた加工品を開発して用途の拡大を図る。
[成果の内容・特徴]
渋皮付の生果肉を3~5㎜幅にスライスして40℃以上で送風乾燥すると、渋皮と果肉が分離できた。乾燥温度が高いほど分離に要する時間は短くなったが、風味、色調等の点から50~60℃での乾燥が適当であった(
図1
)。
乾燥した果肉を粉砕してクリ粉を得た。この乾燥品自体にクリの風味はなく、水を加えて加熱しても蒸しグリのような香気は発現しなかった。
生果肉の乾燥粉末は、水を加えて加熱しても独特の風味はあるものの、シクロデキストリン添加の効果はなく、いずれの場合も蒸しグリのような香りは発現しなかった。一方、蒸した果肉から銅製した粉末は、ほとんど香りはなかったが、水を加えると蒸しグリの香りが発現しシクロデキストリン添加により増強された。しかし、これを加熟すると番りは弱くなった(
表1
)。
生グリ、蒸しグリ、甘露煮等の香気成分についてへッドスペースGC法で分析したが特定の香気成分を同定することはできなかった。
クリ粉の主成分はデンプンである(
表2
)。そこで、ピスコグラムを測定したが、粘度上昇開始温度は69℃、最高粘度は80℃の時で、プレークダウンは小さく、裸麦と類似していた。
クリ粉を用いて餡を試作したが、乾燥、粉砕により細胞が破壊され、澱粉粒が細胞外に出てしまっており、水を加えて加熱すると糊状になってしまい、餡としての利用は困難であった。そこで、くずもち様菓子、ムース等の菓子類の試作を行った。その結果、澱粉の代替としての利用は可能であったが、蒸しグリや甘露煮のような風味の加工品にはならなかった。
[成果の活用面・留意点]
クリの香気成分については未解明であるので、今後、大量のサンプルを用いて香気成分を濃縮して分析する必要がある。
乾燥粉未にすると、クリの風味が消失してしまうので、香気成分の保持技術について検討する必要がある。
[その他]
研究課題名:
クリ新加工品の開発研究
予算区分:県単
研究期間:平成7年度
研究担当者:大野一仁、松本恭郎、松田宏
発表論文等:平成7年度 愛媛県農林水産加工利用開発会議技術開発研究成果報告書
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