土佐湾のマルソウダの脂質含量とその脂肪酸組成の周年変化

[要約]
 
マルソウダは組織によって脂肪酸組成及脂質クラスは異なっている。また、数種の組織では、脂肪含量割合並びに脂肪酸組成に周年変動が見られる。
高知県工業技術センター 技術第2部
[連絡先]0888-46-1111
[部会名]食品
[専門]食品加工
[対象]
[分類]研究

[背景・ねらい]

マルソウダは、高知県で年間約12.000t水揚げされ、その大半が宗田節に加工されている。その頭部及び内臓は廃棄され、また、皮下脂肪を多く含有する時期の魚は節の原料に適していないためにあまり利用されない。そこで、廃棄される残滓の再利用を図るため当魚各組織の脂肪酸組成の基礎的知見を得ることを目的とした。

[成果の内容・特徴]
  1. 年間を通じて脂肪含量割合が、最も多い組織は眼窩であった。その他の組織では、皮下脂肪が最も蓄積される6月に漁獲されたマルソウダの場合、腹側普通筋(腹肉)(14.0%)>脳(12.2%)>背側普通筋(背肉)(10.8%)>肝臓(8.2%)>血合筋(4.1%)>生殖腺(2.3%)の順に多く含まれていた。眼窩、腹側普通筋及び背側普通筋の脂肪含量割合は、魚体重が6月漁獲魚の1/3~1/4になる9月には、1/2~1/10に減少し、11月から1月にかけて徐々に増加して4月に再び減少し、その他の組織では、周年にわたり、ほぼ一定であった(図1)。
  2. 各組織間で脂肪酸組成の違いが見られ、眼窩と血合筋でドコサヘキサエン酸(DHA)、腹側普通筋、背側普通筋、生殖腺、肝政ではパルミチン酸、脳ではオレイン酸が最も多く含まれていた(図2)。DHAは各組織とも15~30%含有され、イコサペンタエン酸は脳以外の組織でDHAの1/2、脳では1/4程度含有されていた。時期別の変動は脂肪含量割合の少ない血合筋及び生殖腺で大きかったが、他の組織では9月を除いてほぼ一定であった。
  3. 各組織で脂質クラスに違いが見られ、腹側普通筋及び背側普通筋では90%以上をトリグリセリド(TG)が占め、脳では、TG>リン脂質十モノグリセリド(PL+MG)>ステロール(FFA)の順に、生殖腺では、PL+MG>ST>遊離脂肪酸(FFA)の順に、血合筋と肝臓は、PL+MG>TG>1、2ージグリセリド(1、2ーDG)>FFA>STの順に多く含まれていた(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 今まであまり活用されなかった脂肪含量の多いマルソウダの食品への有効性を把握できた。

 [その他]
 
研究課題名:水産廃棄物の高度利用に関する研究
予算区分:中企庁開発研究補助事業
研究期間:平成8年度(平成6~7年度)
研究担当者:北村有里,野村
明発表論文:土佐湾におけるマルソウダの脂質含量とその脂肪酸組成の周年変化、日本油化学会、45巻11号、1996
目次へ戻る