2倍体LAハイブリッドユリの染色体倍加処理を利用した3倍体作出法
[要約]
コルヒチン
で
2倍体LAハイブリッドユリ
を
染色体倍加処理
することにより稔性花粉が形成される。この花粉を
2倍体アジアティックハイブリッドユリ
に
柱頭受粉
にすることで、高い結実率と稔性種子が得られる。この方法は
3倍体LAハイブリッドユリ
の作出に利用できる。
高知県農業技術センター・作物園芸部・育種バイオテクノロジー科 [連絡先]0888-63-4911 [部会名]生物工学・野菜・花き・茶(野菜) [専門]育種 [対象]花き類 [分類]研究
[背景・ねらい]
LAハイブリッドユリには2倍体と3倍体のあることが知られおり、このうち3倍体はがく割れしにくく強健であるという長所がある。今後計画的な3倍体育種を行うためには、効率的に3倍体を誘導できる技術を確立する必要がある。このため、コルヒチンによる2倍体LAハイブリッドユリの染色体倍加処理によって得られる稔性花粉を、2倍体アジアティックハイブリッドユリに柱頭受粉する方法を検討する。
[成果の内容・特徴]
2倍LAハイブリッドユリ系統‘2-1-C’の草丈約5㎝の茎頂へ、ツイーン200.1%(W/V)を添加したコルヒチン0.1%(W/V)の水溶液を、パスツールピペツトで24時間内に4回注入してコルヒチン処理を行う。処理後に伸長・開花したシュートからは稔性花粉が得られる(
表1
)。
コルヒチンによる染色体倍加処理によって得られた稔性花粉を2倍体アジアティックハイブリッドユリ品種の柱頭に受粉させることで結実する(
表2
)。
種子から胚を摘出し、NAA0.1㎎/1、ショ糖3%、ジェランガム0.2%を含むpH5.0のMS培地上で、25℃、2.000Lux、16時間明期で培養することにより容易に植物体が誘導される。また、種子を土壌に播種した場合でも、高い発芽率を示す。
得られた実生はほとんどが3倍体であり(
表3
)、本方法により計画的に3倍体LAハイブリッドユリ系統を作出できる。
[成果の活用面・留意点]
茎頂ヘコルヒチンを処理した場合、処理後に伸長・開花するシュートは2割程度である。本方法では、子房親をロンギフロラムハイブリッドユリとした場合には3倍体誘導は困難であり、2倍体アジアティックハイブリッドユリでも品種により困難なことがある。
[その他]
研究課題名:
組織培養によるユリ科花きの増殖および品種改良
予算区分:県単
研究期間:平成8年度(平成4年~8年)
研究担当者:岡田昌久、野町敦史、松本満夫
発表論文等:2倍体LAハイブリッドユリを利用した3倍体LAハイブリッドユリの誘導 高知農技セ研報、第5号、1996
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