青果物輸送における品質低下防止のための物流体系改善点の把握手法

[要約]
 
青果物の物流実態と輸送中の温度変化の調査により、輸送中の品質低下を防止するための物流体系の改善点を把握することができる。この手法を、夏期のイチゴの物流に適用し、フライト輸送は空港での滞荷時間の短縮、宅配便冷蔵輸送は振動による傷み防止などの改善点を抽出した。
徳島県立農業試験場・経営科
[連絡先]0886-74-1660
[部会名]営農
[専門]経営
[対象]
[分類]研究

[背景・ねらい]

青果物の物流手段は向上してきているが、ほ場から消費地までの一貫した管理体制ができていないことによる品質低下の事例も多い。特に、青果物は高温遭遇による品質低下の可能性が大きい。物流実態を調査し、輸送中の劣化原因を解明し、物流体系を改善することは、産地の販売力の向上にとって重要である。
そこで、事例として、夏期にフライト輸送(航空機による輸送)により東京へ出荷されているが販売業者の検査時点での腐敗ロスが多いイチゴについて、品質低下防止のための物流体系の改善点を解明する。

[成果の内容・特徴]
  1. 圃場場収穫時から箱詰めまでの温度は、小型サーモレコーダーを収穫物と一緒に移動させ温度を測定記録する。箱詰めされてからの温度変化は、箱の中と箱外壁面に温度センサーを設置し、測定値を箱内のサーモレコーダーに記録する。ほ場収穫時から消費地までの、物流実態調査は、できる限り輸送に同行し、輸送状況と時間経過を記録する。ビデオ撮影をすると記録しやすい。温度変化と物流実態調査を照らし合わせることにより、物流体系の改善点を把握する。
  2. この方法を用いてイチゴのフライト輸送と宅配便冷蔵輸送の物流を調査すると改善点は次のとおりである。
    ①イチゴは農家で発泡スチロール箱に詰められ輸送される。農協予冷集出荷場で、品質検査後、箱内温度の高いうちにドライアイスを噴霧し密封するため、一晩差圧式予冷庫に保管されても、箱内は十分に予冷できていない。箱内温度を下げてから、密封するよう作業の改善が必要である(図1)。
    ②フライト輸送は、空港での滞荷時間が長く、その間常温にさらされるため、空港での滞荷時間を短縮する改善が必要である(図1)。
    ③宅配便冷蔵輸送は、常に低温で維持され、高温により品質低下しやすい青果物の輸送に適している。段ボール箱が使用でき、発泡スチロール箱よりコスト削減につながるものと推察される。しかし、段ボール箱による輸送は外気温の影響を受けやすいため、集荷場等における常温での放置時間を少なくするなどの一貫した低温管理体制が必要である。また、着荷した時点で輸送中の振動によるイチゴの傷みが見られ、緩衝剤の検討が必要である(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 高温により品質低下しやすい青果物の物流改善に活用できる。

 [その他]
 
研究課題名:立地条件の高度活用による夏秋野菜と山菜の高品質栽培技術体系の確立
予算区分:地域基幹
研究期間:平成9年度(平成7~8年)
研究担当者:山田真也、河村智嗣
発表論文等:
 
目次へ戻る