多段層別分析によるアンケート解析とその適用例

[要約]
 
多段層別分析を用いて経営感覚に関するアンケート解析を行い、ツリー図を示すことによって、農業所得格差に影響する年齢、野心、決断力、洞察力、倫理観、販売目標値、生産資材管理、農産物品質管理、新技術導入等の要因を分かりやすく説明することができる。 
四国農業試験場・作物開発部・病虫害研究室
               育種工学研究室
[連絡先]0877-62-0800   
[部会名]営農
[専門]経営
[対象]
[分類]指導

[背景・ねらい]

アンケート解析では単純集計やクロス集計以外に、主成分分析やクラスター分析等の多変量解析手法を使って対象を分類したり、総合的に評価をおこなうことも多い。しかしながら、必ずしも結果の解釈・理解が容易ではなく、多変量解析知識の不十分な調査対象者や第三者に対して説得力のある手法が求められている。
そのため、農業者の経営感覚が農業所得格差に及ぼす影響に関するアンケート解析において、演算自体は非常に素朴なものであるが、それだけに算出結果の理解・解釈も容易であると言われている多段層別分析を適用し、その有効性を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 多段層別分析は、目的変数を各説明変数においてすべてのカテゴリーの組み合わせで2つの層に分け、層間と層内の分散比F値を計算する。その中でF値が最大となったカテゴリーの組み合わせで、目的変数を2つの層に分割する。分割された各層について、同様の手順で分割を進め、分割停止条件によって分割を終了させる手法である(図1)。
  2. 解析に用いたアンケートは26項目であり、経営主の属性1項目、経営者能力については4項目、経営管理に関しては5項目を有効説明変数とし、最終的に12グループに分割でき、グループ内の平均農業所得は1,301千円~7,449千円と格差が生じる(図1)。
  3. 経営者能力については、53歳以下で決断力と洞察力に自信を持ち、かつ倫理親を有する農家グループが平均以上の農業所得である。また、54歳以上のグループでも野心を持ち続けている場合は平均以上である(図2)。
  4. 経営管理については、対前年比20%程度内と現実的増加目標値を掲げ、生産資材の管理を十分行うグループの平均農業所得が高い。一方、生産資材の管理はあまり気にしなくとも、農産物の品質管理に十分注意を払い、新品種や新技術を積極的に導入しようとするグループも高くなる(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 他の多変量解析手法と比べて演算過程は比較的単純で、原理的には分かりやすい手法であり、特にツリー図を示すことによって調査農家等への説明には有効である。
  2. 調査データ数や分割内のデータが少ない場合は、安定したモデルが得られない可能性があるので、結果を鵜呑みにしない。
  3. 安定した解析モデルを得るために大量で良質のデータ収集に留意する。

 [その他]
 
研究課題名:主要園芸産地における担い手確保システムの解明
予算区分:県単
研究期間:平成9年度(平成8年度~11年度)
研究担当者:大西智司
発表論文等:中国農試農業経営研究第123号(1997年)
 
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