米麦共同利用施設が稲・麦作経営規模拡大に及ぼす効果多段層別分析によるアンケート解析とその適用例
[要約]
瀬戸内平坦地域
の
個別経営体
を対象に普通期の
水稲稚苗移植
+
裸麦
作体系において
共同利用施設
が
作付面積
の拡大に及ぼす影響を
線形計画法
で検討した結果、水稲作では収穫作業より育苗作業に労働競合が生じるので、
カントリーエレベーター(CE)
を利用するより
育苗センター
利用のほうが規模拡大や所得増加の効果が高い。
愛媛県農業試験場・経営流通室 [連絡先]0877-62-0800 [部会名]営農 [専門]経営 [対象]稲類・麦類 [分類]指導
[背景・ねらい]
育苗センターやライスセンター、CEなど の共同利用施設が水稲・裸表作の規模拡大に及ぼす影響について、個別経営体を対象に線形計画法を用いて 検討する。
計算の対象は水稲稚苗移植+裸麦栽培7ha規模の農家とし、保有労働力の範囲で、現行の栽培体系における 最大作付可能面積を改善体系として求め、さらに、育苗センター利用(水稲苗の購入)とCE利用(稲の乾 燥・調製委託)について最適解を求める。 なお、計算は平成6~8年度に伊予郡松前町で実施した超低コスト稲麦体系現地実証試験のデー夕を用い、次 のような条件を前提に行う。
①水稲は6月中旬移植(稚苗)で9月下句~10月下句収穫、裸麦では11月中旬~下旬播種で5月下旬収穫 とし、水稲十裸麦体系とする。
②保有労働力は、主従事者1名、補助従事者2名とし、句当たりの保有労働時間の上限は168時間とする。
③水稲苗は570円/箱で10a当たり20箱必要とし、CEにおける稲の乾燥・調製料金は1,900円/100kgとする。なお、裸麦の乾燥・調製はすでに全量CE利用である。
[成果の内容・特徴]
水稲苗を購入すると1ha当たりの変動費は68千円増加し、全体の固定費は79千円減少し、水稲作でCEを利用すると変動費は113千円増加し、固定費は486千円減少する(
表1
)。
改善体系の作付面積は、水稲が7.7ha、裸麦が8.9haである(
表2
)。
水稲苗を購入した場合は、水稲8.8ha、裸麦13.0haとなり、自家育苗(改善体系)に比べると、水稲が1.1ha増、裸麦が4.1ha増となり、所得も増大する(
表2
)。
水稲の乾燥・調製をCEに委託した場合は、規模拡大の効果は認められない。これは水稲の収穫期に1か月の幅があり、保有労働力に余裕が生じるためである。なお、面積は改善体系と同じになり、作業時間、所得は少なくなる(
表2
)。
購入苗+CEの場合は、苗購入と同じ規模となるが、作業時間、所得は減少する(
表2
)。
[成果の活用面・留意点]
共同利用施設を利用した経営モデル作成のための指標として活用できる。
育苗センターやCEの利用をモデルに組み込む場合は、水稲作の作型や対象施設の 利用料、能力等を考慮した試算が必要である。
[その他]
研究課題名:企業的水稲経営確立技術開発試験
予算区分:県単
研究期間:平成9年度(平成8年度~11年度)
研究担当者:大野高資
発表論文等:平成9年度日本農業経営学会研究大会において発表
瀬戸内平坦地域における稲・麦経営規模拡大の限界、日本農業経営学会誌
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