露地栽培シシトウガラシに発生するCMVに対する弱毒ウイルスの防除効果

[要約]
 
露地栽培シシトウガラシに発生するCMVの防除において、数種の既存弱毒ウイルスは効果的であるが、なかでもG1株の効果が最も高い。強毒ウイルスの発生率が高い圃場では、本ウイルス株の利用によって収量や品質の低下が軽減される。
高知県農業技術センター・生産環境部病理科
[連絡先]0888-63-4915
[部会名]生産環境(病害虫)
[専門]作物病害
[対象]ナス類
[分類]研究

[背景・ねらい]

本県中山間地域の重要作物である、露地栽培シシトウガラシには、3種類のウイルスによる病害が発生し、収量や品質の低下を招いている。なかでも、キュウリモザイクウイルス(CMV)によるモザイク病は、果実に激しい奇形を生じるなど、被害が最も大きい。現行の対策は、シルバーマルチなどを用いた媒介アブラムシの防除であるが、これらの効果は不十分である。一方、トマトやキュウリては弱毒ウイルスによるCMV防除が研究されており、高い防除効果が認められるいくつかの弱毒ウイルス株が見いだされている。そこで、これら既存弱毒株を中心に、シシトウガラシに対する適合性と効果的な利用法を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. シシトウガラシにおける病徴は、SR、SRO、G1、G1-1、24ムの5分離株が軽い。また、G1、G1-1、24ムは、強毒ウイルスに対する干渉効果も高い(表1)。
  2. 強毒ウイルスが自然発生する圃場では、G1、G1-1、24ム、およびⅢ-19のいずれによっても、強毒ウイルスの被害を軽減できるが、収量や品質の点でG1が最もシシトウガラシに適している。一方、強毒ウイルスの自然発生がみられない圃場では、G1自体による収量と果実品質の低下がやや目立つ(図12)。
  3. G1はシシトウガラシの他、メロン、アズキ、トマト、ホウレンソウにも感染するが、ほとんど無病徴である。また、キュウリには感染しない。さらに、TMVやBBWVと重複感染しても、病徴が数化することはない。                                         

[成果の活用面・留意点]

  1. G1の接種は、播種28日後頃までとする。これ以降に接種すると、接種葉には感染するが、全身へ移行しにくい。また、接種後27℃以上の高温が持続すると、全身移行が妨げられるので、温度管理に注意する。
  2. G1ではそれ自身による生育抑制や果実の品質低下が認められるため、シシトウガラシの生育への影響がより少ない新たな弱毒株の探索が必要である。

 [その他]
 
研究課題名:キュウリモザイクウイルスによる露地栽培シシトウガラシモザイク病の生物防除
予算区分:県単
研究期間:平成9年度(6年~8年)
研究担当者:竹内繁治、川池直人
発表論文等:高知県農業技術センター研究報告7号
 
目次へ戻る