極早生水稲「高育55号」の育成と奨励品種の採用

[要約]
 
水稲「高育55号」は高知県の4月中旬移植の早期栽培で、7月25日には収穫可能な極早生の粳種である。耐病性は中~やや強く、短稈で耐倒伏性が強く、多収、良質であり、早場米のリレー出荷に利用できる。
高知県農業技術センター・作物園芸部・遺伝資源科
[連絡先]0888-63-4916
[部会名]水田・畑作、生物工学
[専門]育種
[対象]稲類
[分類]普及

[背景・ねらい]

早場来は来過剰の状況下においても比較的販売面における有利性が高く、西南地域はその早期出荷にしのぎをけずっている。極早生水稲は本県の売れる米として重要な位置づけにあるが、入札制度の激変により、「ナツヒカリ」よりさらに1週間程度早くから出荷可能な極早生品種の要望が販売戦略上急速に高まった。

[成果の内容・特徴]
  1. 本品種は平成3年旧高知県農事試験場において、高育27号/H3A370の交配後、F1の葯培養により固定したものに由来する。
  2. 出穂期、成熟期は「ナツヒカリ」より、1間程度早く、登熟日数は同等かやや長い。高知県においては7月25には出荷可能な極早生に該当する(表1)。
  3. 稈長は「ナツヒカリ」より8㎝程度短く、極めて短稈である。穂長、穂数はほぼ同等で、草型は穂数型である(表1)。
  4. 穂発芽性は極難~難、脱粒性は難、耐倒伏性は強である(表1)。
  5. 耐病性は葉いもちには極強、穂いもちには強を示す。紋枯病には中、白葉枯病には強を示す(表1)。
  6. 穂ばらみ期の耐冷性は極弱、移植時の低温抵抗性は強である。
  7. 収量性は「ナツヒカリ」対比の標肥栽培で108%(多肥栽培では113%)の多収を示す(表1)。
  8. 粒厚はやや薄く、千粒重は「ナツヒカリ」より小さい。心白、腹白の発生はほとんどなく、光沢、粒揃は良く、外観品質は良好である(表1)。
  9. 精米白度は高く、「ナツヒカリ」より搗精しやすい。
  10. 炊飯米はやや硬めであるが、外観および官能食味は良好である(表2)。                                      

[成果の活用面・留意点]

  1. 県内平坦部の早期栽培における7月出荷をめざした早場米として普及をはかる。
    1)いもち病に対する抵抗性は、真性抵抗性に支配されているとみられるため、基幹防除に努める。
    2)苗代感応度が高いので、育苗温度に注意する。

 [その他]
 
研究課題名:早熟水稲品種育成試験
予算区分:県単
研究期間:平成9年度(昭和63年~平成5年、平成6年~12年)
研究担当者:中村幸生、亀島雅史、溝渕正晃、宇賀博之
発表論文等:水稲極早生系統「高育55号」の育成、高知農技セ研報、7
 
目次へ戻る