酒造好適米「高育酒54号」の育成と奨励品種の採用

[要約]
 
水稲高育酒54号」は高知県の普通期栽培で、9月上~中旬に収穫可能な中生種の早に該当する酒造用の粳種である。耐病性はやや弱いが、倒伏性は中で、多収心白の発現は良く、低タンパクで酒造適性および醸造適性が良好である。
高知県農業技術センター・作物園芸部・遺伝資源科
[連絡先]0888-63-4916
[部会名]水田・畑作、生物工学
[専門]育種
[対象]稲類
[分類]普及

[背景・ねらい]

高知県における酒造好適米はほぼ全量が県外に依存しており、気象や価格変動により安定した需要量が確保できない状況にある。また、酒造業界においては地酒ブームや特定銘称酒の販売が緊調であることより、一段と自県産来やその酒造適性を重視するようになり、「山田錦」並みの酒造適性を持ち、安定性の高い新品種開発への期待が強かった。

[成果の内容・特徴]
  1. 本品種は平成元年旧高知県農事試験場において、山田錦/ヒノヒカリの交配後、F1の葯培養により固定したものに由来する。
  2. 出穂期、成熟期は「山田錦」より10日~2週間程度早く、本県における中生種の早に該当する(表1)。
  3. 稈長は、「山田錦」より15~20㎝程度短い。穂長は短く、穂数は多く、草型は偏穂数型を示す(表1)。
  4. 穂発芽性は難、脱粒性はやや易、耐倒伏性は中である(表1)。
  5. 耐病性は葉いもちには中、穂いもちには「山田錦」並みの弱である。紋枯病、白葉枯病には中の抵抗性を示す(表1)。
  6. 収量性は高く、「山田錦」対比の標肥区で121%(多肥区では109%)を示す(表1)。
  7. 千粒重はやや小さいが、心白発現率および心白率は「山田錦」より高い。外観品質「山田錦」より良好である(表1)。
  8. 粗タンパク含有量は低く、酒造適性としての吸水性、消化性も良好で(表2)、醸造された酒は味、香りも良好である。             

[成果の活用面・留意点]

  1. 県内中山間地域の普通期栽培における酒造好適米として普及をはかる。
    1)いもち病に対する抵抗性は十分でないので、常発地は除くとともに基幹防除につとめる。
    2)稈質が十分でないので、過度な施肥は行わない。
    3)心白の発現程度、千粒重、粒厚には地域および年次による変動が見られる。

 [その他]
 
研究課題名:酒米の品種育成試験、酒造好適米有望系統の適応性検定試験
予算区分:県単
研究期間:平成9年度(平成3年~8年、9年~11年)
研究担当者:中村幸生、亀島雅史、溝渕正晃、宇賀博之
発表論文等:水稲極早生系統「高育54号」の育成、高知農技セ研報、7
 
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