パソコンによる水稲主要品種の栽培適地判定

[要約]
 
パソコンを用いて、県内全域を対象とした任意の移植日における水稲育成シュミレーションを行い、移植時の温度条件や推定された出穂期が水稲の生育に好適であるか判定するとともに、障害型不稔に弱い品種では不稔率の目安も得られる水稲栽培適地判定システムを開発した。
 高知県農業技術センター・作物園芸部・普通作物科
 [連絡先]0888-63-4911
 [部会名]水田・畑作
 [専門]栽培
 [対象]水稲
 [分類]普及

[背景・ねらい]

近年、新食糧法の施行など、稲作を取り巻く情勢は大きく変化しており、各地域で特色ある稲作に取り組み、農家の所得向上をねらった動きが一層強まっている。
そのようななかで、水稲の新たな品種や作型を導入する場合に、該当地域の気象データを活用することによって生育の指標を示し、栽培上の障害となる登熟限界の目安や、極早生品種での障害型不稔を主とした不稔の発生を事前に知ることのできるシステムの開発が望まれていた。

[成果の内容・特徴]
  1. 本システムは、番号の選択や数字の入力等のメニュー形式のため、簡単な操作で県内全域における水稲栽培適地判定ができる(図1)。
  2. 適用品種は、「ナツヒカリ」、「コシヒカリ」、「黄金錦」、「あきたこまち」、「アキツホ」、「ヒノヒカリ」、の6品種であるが、必要に応じて品種の拡充も可能である。
  3. 品種選定後に想定する移植日、地点を選択すると、幼穂形成期と出穂期を算出し、登熟期間の温度が十分(出穂後40日間の平均気温の積算が800℃以上)か否かの判定を行う(図12)。なお、温度データには、アメダスの日平均気温平均値とメッシュ気侯値を用い、アメダス観測点ごとや任意の3メッシュごとに適地判定ができる。
  4. 幼穂形成始期~穂揃期での低温の影響をもとにした不稔率の推定法(矢島1996農業気象学会)を用い、農業環境技術研究所気象生態研究室の協力を得て「ナッヒカリ」の不稔率推定プログラムを作成した。これにより、「ナツヒカリ」では生育ステージとともに推定不稔率が求められる。なお、図3に推定値の実測値との誤差を、図4に実際の計算例を示した。                                   

[成果の活用面・留意点]

  1. 本システムは、地域の特性を生かした稲作を展開するために、地域の気象条件にもとづく水稲の作付け計画の策定や、新たな品種の導入や作期を拡大した場合の肥培管理計画、病害虫防除計画、ライスセンターの運営計画などの作業計画策定に利用できる。 また、当該年の温度データファイルの作成によって、生育予測や作柄判定の貴料としても利用できる。
  2. 生育ステージの予測は稚苗移植を基準とし、幼穂形成期は幼穂長2㎜の時期を示す。
  3. 「ナツヒカリ」の不稔率は、早期栽培等の幼穂形成始期~穂揃期に低温となる条件での推定結果であるため、この時期の平均気温が25℃以上となる場合や、通常の早期栽培でも台風による暴風や潮風等による気象災害を受けたときには合わない場合がある。

 [その他]
 
研究課題名:コンピュータによる水稲主要品種の栽培適地判定システムの開発
予算区分:県単
研究期間:平成9年度(平成7年~8年)
研究担当者:山崎幸重、藤村 隆
発表論文等:高知の農林業新技術17号
 
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