イワシ油脂肪酸カルシウム及びシシトウを利用した特産鶏卵肉の高付加価値化技術

[要約]
 
イワシ油脂肪酸カルシウム(FACa)化することにより容易に飼料混合できる。この、イワシ油FACaアマニ油FACaを混合した飼料の給与により、鶏卵や徳島県特産の阿波尾鶏肉中のn-3系脂肪酸が強化される。また、シシトウは卵黄色改善効果がある。以上により、鶏卵肉の高付加価値化が可能である。
徳島県畜産試験場・養鶏科
[連絡先]0886-94-2023
[部会名]畜産
[専門]栄養飼料
[対象]鶏
[分類]指導

[背景・ねらい]

生産基盤が弱く、労働集約化の困難な中山間地域養鶏を活性化するために、小規模ながら経営可能な高付加価値型の飼養技術の確立が望まれる。一方、健康食品に対する消費者の関心は高い。そこで、動・植物性未利用資源であるイワシ油及びシシトウを利用したn-3系脂肪酸豊富な鶏卵肉の生産技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. イワシ油FACa100gの作成方法は次のとおりである。イワシ油70gに0.05%のエトキシキンを添加し、これに水酸化Ca20gを添加し撹拌 しながら、一方で40℃の水9.75gにリパーゼ0.25gを溶かしたものを用意する。両者を混合し40分程撹拝したものを2日間放置するとFACaの形に固形化する。更に、これを粉末化することで飼料への混合ができる。
  2. 卵黄100g当たりのn-3系脂肪酸含量は、イワシ油FACa及びアマニ油FACaを飼料に1.5%ずつ混合添加することにより、α‐リノレン酸1231mg、EPA99mg、DHA812mgとなり、無添加と比較してα‐リノレン酸が9.8倍、EPAが0→99mg、DHAが2.5倍多くなって卵品質は向上する(表1図1)。また、鶏卵中n-3系脂肪酸組成は2週間の給与期間で安定する(図3)。
  3. 卵黄色はシシトウ乾燥粉末を飼料に3%添加することで濃くなり、一層の高付加価値化が図られる(表2)。
  4. 鶏卵と同様に、徳島県特産の阿波尾鶏へのイワシ油FACa及びアマニ油FACaの給与は、飼料への添加により鶏肉中n-3系脂肪酸組成を強化できる(図2)。
  5. 以上の成果は、天然の未利用飼料原料を有効利用し、かつ消費者の健康食品への二一ズに対応した特産鶏卵肉の高付加価値化技術として活用できる。
  6. 液体精製イワシ油の過酸化物価(POV)及びカルボニル価(COV)は、5℃環境下で保存することにより、2週間後及び4週間後時点の上昇を抑制できる。一方、イワシ油FACaでは保存温度に関係なく、POVの変化は各時点で見られず、COVは時間経過により上昇する。これは、温度制御だけではイワシ油FACaの酸化を抑制できなかったことを示唆しており、イワシ油FACaの保存方法については、今後の検討課題として残された。                                                               

[成果の活用面・留意点]

  1. イワシ油FACaの実用化には上記 6.の解決が必要である。

 [その他]
 
研究課題名:四国中山間地域活性化のための特産鶏卵肉安定生産システムの開発
予算区分:地域重要
研究期間:平成9年度(平成7~9年)
研究担当者:笠原 猛、岡鳥博道、篠原啓子、三船和恵
発表論文等:徳島県畜産試験場研究報告 №37、1996、№38、1997
 
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