ももの人工受粉における機械化と貯蔵花粉の利用

[要約]
 
動力散粉機を用いたもも人工受粉は、手作業に比べて、受精果率はやや低くなるか、大幅な作業時間短縮が図られる。花粉の貯蔵には、家庭用冷蔵庫が利用でき、-15℃で1年間保存した貯蔵花粉は、受精果率にも影響がなく有効である。
香川県農業試験場府中分場・栽培担当
[連絡先]0877-48-0731
[部会名]果樹・傾斜地
[専門]栽培
[対象]果樹類
[分類]普及

[背景・ねらい]

白桃」など花粉のない品種は、みつばちなどによって花粉が運ばれない限り、自然状態では結実することがない。安定した結実を得るためには、人工受粉は欠かせない作業となっているが、手作業によるため、多くの時間を要し、栽培面積の制限要因となっている。
また、受粉は気象の影響を受けやすい上に、ももの開花時期は天候か不安定となりやすい。そこで、作業時間の短縮と天候不順時の危険回避を図るため、動力散粉機を用いた機械受粉及び花粉の貯蔵方法について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 機械受粉(動力散粉機)は、手受粉(ポーレンダスター)に比べ、受粉時間か大幅に短縮される。しかし、使用花粉量か増えるため、花粉採取精製時間はやや多くなる(表1)。
  2. 機械受粉の果実品質は、手受粉に比べ、果実重はやや軽い傾向が見られるか、糖度には影響かない(表1)。
  3. 貯蔵花粉(前年採取花粉)の花粉生存率は、貯蔵温度が低いほど良好である。受精果率は、-15℃以下の貯蔵温度で、対照(当年採取花粉)と同等以上になる(表2)。
  4. 花粉の貯蔵には、家庭用冷蔵庫の冷凍室(-15℃)か利用できる。
  5. 貯蔵花粉による果実品質への影響はない(表2)。                                                

[成果の活用面・留意点]

  1. 機械受粉は、受精果率がやや低くなるため、摘蕾時に蕾を多く残すなどの配慮が必要である。
  2. 貯蔵花粉は、発芽率の低下か避けられないため、使用前に必ず調査を行い、発芽率の高いものだけを使用するようにする。

 [その他]
 
研究課題名:担い手に魅力ある傾斜地果樹の軽労働・省力生産システムの開発
予算区分:地域重要
研究期間:平成9年度(平成5~9年)
研究担当者:山下泰生・丸尾勇治郎・片桐孝樹・吉原信治郎
発表論文等:なし
 
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