「不知火」の品質向上、樹勢椎持及び安定生産に対する早期一回摘果の効果
[要約]
「不知火」
に対し葉果比120、6月に
早期一回摘果
を行うと、7月下旬及び8月下旬の摘果に比べて、
着果負担
が軽減され、
果実肥大
、
減酸
、
細根の生長
が促進され、葉数も増加し、さらに次年の着花数も増加するなど、
品質向上
、
樹勢維持
及び
安定生産
に著しい効果がある。
愛媛県立果樹試験場・南予分場 [連絡先]0895-52-1004 [部会名]果樹 [専門]栽培 [対象]果樹類 [分類]普及
[背景・ねらい]
栽培面積が急増した「不知火」は、糖度が高い反面減酸が遅く、また樹勢は低下しやすく、さらに着花も不安定であるなど、栽培上の問題点が多い。摘果は慣行的に、粗摘果は7月に、仕上げ摘果は9月に行われているが、大果生産、減酸の促進、細根や夏枝の生育促進及び隔年結果防止を実現するために、6月の早期一回摘果の効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
着葉数1,000程度の7年生「不知火」の場合、6月の早期一回摘果による摘果重量は177gに過ぎないのに、6月下旬と8月上旬の慣行摘果及び8月上旬と9月の後期摘果ではそれぞれ1,286g、2,424gに達する。したがって早期一回摘果は、梅雨から夏期の樹体への着果負担を大きく軽減する(
表1
)。
早期一回摘果によって収量は慣行摘果に比べて30%、後期摘果に比べて23%低下するが、果実重量はそれぞれ50g、100gも増加し、大果の生産量と正品率には差異がない。しかも果皮よりも果肉の生長が促進され、果汁歩合も高まる。さらにクエン酸は早期摘果区が0.3%低く、12月下旬には1.2%以下に低下するなど、品質向上効果が大きい(
表2
)。
樹体の生長については、早期摘果によって慣行摘果や後期摘果に比べて細根が4~5倍増加し、また夏枝の発生も2倍以上増える。発生した夏枝は春枝に比較し2倍以上長く、葉面積も2倍以上広く、着花過多樹の樹勢回復にも効果が大きい(
表1
、
3
)。
次年の着花数も、早期一回摘果によって2倍以上増加することから、安定生産にも効果がある(
表4
)。
早期摘果の葉果比は、夏枝の生育と細根発生童及び収量がらみて100~120が適正である(
表4
)
。
[成果の活用面・留意点]
樹勢の不良で酸高及び隔年結果の著しい多くの園地において、表年樹に適用される。また施設栽培樹にも活用できる。さらに同様の栽培上の問題を有する「宮内伊予柑」やポンカンにも応用できる。早期摘果と同時に立ち枝の間引きや摘果枝の切り返し剪定を実施すると、夏枝の生長がさらに促進される。こうした夏剪定を実施する場合には春の剪定は間引きや樹高切り下げ剪定に止める必要がある。細根の発生促進と保護に、熟成した有機物の施用も重要である。
[その他]
研究課題名:
新種かんきつ(ヒメポン)安定生産技術確立試験
予算区分:
県単
研究期間:
平成8~9年度(平成6~10年)
研究担当者:
高木信雄・菊池泰志・笹山新生・藤井栄一
発表論文等:なし
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