トンネルニンジン栽培圃場における下層への硝酸態窒素の集積実態


[要約]
野菜-ニンジン体系では夏作の野菜に窒素を連年多施用するので下層への硝酸態窒素の集積が著しいが,水稲-ニンジン体系では集積はみられない。また,夏作に野菜を1作栽培するだけでも下層土の硝酸態窒素が増加する。

徳島県立農業試験場・農芸化学科
[連絡先] 0886-74-1660   
[部会名] 生産環境
[専門] 土壌
[対象] にんじん
[分類] 研究


[背景・ねらい]
トンネルニンジン栽培では基肥以外に堆肥等の有機質資材が施用されることや有機質肥料の肥効が緩慢なことを考慮して施肥が多めにされることから,施肥窒素量は施肥基準を超えていることが推察される。また,ニンジンと野菜の栽培体系圃場では年間の窒素施用量が多くなる。これらのことからニンジン栽培地域では施肥が地下水など周辺環境へ影響を及ぼしていることが懸念される。そこで,ニンジン栽培圃場での下層(深さ30~70㎝)の硝酸態窒素の集積を調査し,環境保全型土壌管理対策の基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
  1. 野菜-ニンジン体系では下層土に硝酸態窒素が集積するが,水稲-ニンジン体系では集積しない(図1)。
  2. 夏作の野菜栽培に窒素を連年多施用すると下層土への硝酸態窒素の集積が著しい。夏作に野菜を1作栽培するだけでも下層土の硝酸態窒素が増加し,無肥料でソルゴーを連年栽培しても集積する(図1)。
  3. トンネル栽培のためビニル被覆期間中の作土の土壌水分張力が高く推移し,下層から上層への土壌水分の移動に併せて硝酸態窒素も上層に集積することが示唆される(図3)。
  4. 以上のことから,夏作に水稲を栽培するとニンジン栽培期間中に作土に残留した硝酸態窒素が脱窒等により消失するが,水稲を栽培しない場合は降雨量の多い夏期に硝酸態窒素が下層へ移動,集積し,夏作の窒素施用量が多いほど下層土への集積も多くなると考えられる。
表1 調査圃場の夏作およびニンジンの耕種概要

[成果の活用面・留意点]
入水可能な圃場には水稲栽培を組み入れ,畑地帯では夏作の施肥について施肥基準の厳守を指導する必要がある。

[その他]
研究課題名:ニンジン栽培地域における環境にやさしい土壌管理
予算区分:国補(土壌保全)
研究期間:平成10年度(平成7~8年度)
研究担当者:松家義克、喜田直康、黒島忠司
発表論文等:徳島農試研報 第34号
 
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