水稲(コガネマサリ)栽培への生活処理廃水の利用


[要約]
生活処理排水(高濃度の窒素水)を水稲栽培に利用するため、かんがい水の窒素が玄米窒素量および玄米量に与える影響について調査したところ、玄米窒素量に対しては出穂以降のかんがい水の窒素の影響が大きく、玄米重に対しては出穂以前のかんがい水の窒素の影響の大きいことが、認められる。

香川県農業試験場・土壌肥料担当
[連絡先] 087-889-1121   
[部会名] 生産環境(土壌肥料)
[専門] 肥料
[対象] 水稲
[分類] 研究


[背景・ねらい]
香川県は雨量が少なく、水稲栽培においては、かんがい水の確保が重要課題となっている。このため、かんがい水確保のための一方法として、生活処理排水の水稲栽培へ利用の可能性について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 生活処理排水は高濃度の窒素やリンなどを含み、水質が不安定で、水稲の生育に及ぼす窒素の影響を検討するには、生育に及ぼす要因をより少なくする必要がある。このため、実際の農業用水と生活処理排水に加え、水道水および水道水に農業用水や生活処理排水程度の窒素を添加した計5種類の水を用いて合計17処理区のポット試験を行った。この結果から、水稲の玄米窒素量および玄米重に施肥窒素やかんがい水の窒素が与える影響について重回帰分析した。(表1
  2. 同量の窒素が玄米窒素量に与える影響は、穂肥が最も大きく、出穂以後のかんがい水、基肥、出穂以前のかんがい水の順である。それぞれの窒素量を考慮すると、玄来窒素量は出穂以降収穫まで窒素15ppmの水を使用することが最も玄米窒素量を増加させる。
    表3図1
  3. 玄米重には、出穂までのかんがい水の影響が有意であった。(表3
  4. かんがい水に生活処理排水などの窒素濃度の高い水を利用する場合は、出穂期までは高濃度窒素の水をかんがい水として利用できるが、出穂以降はできるだけ窒素濃度の低い水を用い、玄米窒素量に対し影響の大きい穂肥を施用しないことが重要である。(図1

[成果の活用面・留意点]
  1. 6月中旬定植の水稲(コガネマサリ)において、生活処理排水を利用する場合に適用できる。
  2. 生活処理排水は、しばしば水質が大きく変化するので、応急的な利用にとどめる。

[その他]
研究課題名:生活処理排水利用による水稲栽培試険
予算区分:県単
研究期間:平成10年度(平成7年度~9年度)
研究担当者:香西清弘,平木孝典
発表論文等:なし
 
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