水稲「こいごころ」における被覆尿素を利用した全量基肥施肥法


[要約]
水稲「こいごころ」の普通期栽培において、被覆尿素入り複合肥料(被覆尿素60%混合)を利用した全量基肥施肥法により、慣行の基肥-穂肥施肥より施肥室素成分で20~40%の減肥が可能で、慣行並の生育・収量が得られる。

愛媛県農業試験場・生産環境室
[連絡先] 089-993-2020   
[部会名] 生産環境(土壌肥料)
[専門] 肥料
[対象] 稲類
[分類] 普及


[背景・ねらい]
水稲栽培において被覆肥料を利用した全量基肥施肥体系は、施肥作業の省力化をねらいとして、現地で普及しつつあるが、環境保全型農業を推進する上では、施肥効率の向上による施肥量削減のひとつの方法として注目される。本県では、中・晩生品種に関しては、適正な施肥量が示されているが、極早生・早生品種に関してはまだ確立されていない。そこで平成7年に奨励品種に採用された早生品種「こいごころ」について、被覆尿素肥料入り複合肥料を用いた全量基肥施肥法による適正施肥量に関して検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 水稲「こいごころ」について、被覆尿素入り複合肥料を全量基肥で全層施用した場合、慣行の基肥一穂肥施肥体系に対し、窒素成分で20~40%の減肥が可能である(表1)。
  2. 窒素の吸収量は、慣行並かやや多くなり、施肥室素の利用率は、慣行区を上回り、施肥効率が向上する(表2)。
  3. 玄来中の窒素含有率は慣行区と比較すると全量基肥区の方がやや高くなる傾向がみられたが、良質粒歩合は慣行区と全量基肥区の間に明確な差はみられない(表3)。
  4. 被覆肥料からの窒素の溶出量は、7月末~8月上旬の間が最も多く、被覆肥料中の全窒素量の約40%が溶出し、この時期は「こいごころ」では幼穂形成期(穂肥施用時期)に一致している(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 普通期栽培の「こいごころ」及び熟期の近い早生品種に適応する。
  2. 被覆尿素入り複合肥料の減肥程度を決める際には、土壌の肥沃度等を考慮する必要がある。

[その他]
研究課題名:水稲こいごころにおける全量基肥施肥体系技術確立試験
予算区分:県単
研究期間:平成10年度(平成8~10年)
研究担当者:秋山 勉、上松富夫、松本英樹
発表論文等:なし
 
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