香川県における小麦「チクゴイズミ」の特性と適応性


[要約]
チクゴイズミ」は「ダイチノミノリ」に比べて出穂期は1日程度早く、成熟期が1日程度遅い早生種である。稈長はやや長く、穂長は同程度、穂数は多い。子実重は「ダイチノミノリ」より多収で、千粒重は同程度に大きく大粒である。外観品質は「ダイチノミノリ」と同程度に良質で、製粉歩留はやや高い。アミログラム特性は、最高粘度が高く、ブレークダウンが大きい。

香川県農業試験場・作物担当
[連絡先]  087-889‐1121   
[部会名] 水田・畑作
[専門] 育種
[対象] 麦類
[分類] 普及


[背景・ねらい]
平成元年に小麦奨励品種に採用された「ダイチノミノリ」は、早生品種で収量性も安定しているが、穂発芽しやすい欠点をもっており、平成3年産及び8年産において穂発芽に起因する規格外麦の発生を招いた。また、民間流通への移行を展望し、近年収量性のみならず加工適性に優れた小麦品種も育成されており、耐穂発芽性及び加工適性に優れた品種への転換が望まれている。
「チクゴイズミ」は九州農業試験場において「関東107号」と「アサカセコムギ」の交配から育成された穂発芽性「難」の品種で、本県では平成2年から農業試験場で奨励品種決定予備試験を行い、平成4年から現地試験に供試して県内での適応性を検討した。その結果、場内及び現地での成績が良好であったことから、平成10年度に本県の小麦奨励品種に採用された。

[成果の内容・特徴]
  1. 「チクゴイズミ」は「ダイチノミノリ」と比較して、出穂期は1日程度早く、成熟期は1日程度遅い早生種である。稈長は長く、穂長は同程度、穂数は多い。子実重は対「ダイチノミノリ」116%と多収である。千粒重は同程度の大粒で、容積重は重い。外観品質は同程度で良質である。稈質はやや弱く倒伏にも弱い。うどんこ病にはやや弱い。(表1
  2. 県内6カ所における試験結果でも、子実重は倒伏程度の高い満濃町を除いていずれの地区でも多くなっている。倒伏程度は、土庄町を除いた全地区で「ダイチノミノリ」よりも大きくなっている。(表2
  3. 「チクゴイズミ」の製粉特性を「ダイチノミノリ」と比較すると、製粉歩留は同程度であるがミリングスコアはやや高い。粉の蛋白含量は低い。アミログラムの最高粘度はかなり高く、ブレークダウンが大きい。(表3
  4. うどんの官能評価では、粘弾性・なめらかさに優れ、食味の総合評価は優る。(表4

[成果の活用面・留意点]
  1. 普及適応地帯は、県内全域の平坦部で排水良好な麦作地帯である。
  2. 既存品種「ダイチノミノリ」に比べて耐倒伏性が劣るので多肥栽培は行わない。
  3. うどんこ病にやや弱いため、多発地では適期防除を行う。

[その他]
研究課題名:麦類奨励品種決定調査
予算区分:国補(重要農産物種子法)
研究期間:平成10年度(平成2年~平成10年度)
研究担当者:井之川育篤(高松地域農業改良普及センター)、井口 工(高松地域農業改良普及センター)、大山興央、大川俊彦
発表論文等:なし

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