ユズに発生したLachnum abnormeによる幹腐病
- [要約]
- 徳島県の山間部でユズの枝幹部がすり鉢状にくぼみ、木質部まで腐り込む凹陥性幹腐症が発生した。病原菌はLachnum
abnorme (Mot.)Haines&Dumontである。病名を「ユズ幹腐病(みきぐされびょう)」と命名した。
徳島県果樹試験場・病虫科
[連絡先] 08854-2-2545
[部会名] 果樹、生産環境
[専門] 作物病害
[対象] 果樹類
[分類] 指導
- [背景・ねらい]
- 徳鳥県南部の木頭村を中心としたユズ産地でユズの枝幹部かすり鉢状にくぼみ、木質部まで腐り込む障害が発生し問題になっている。県内で発生に地域差があり、県西部では小さな病斑は確認されたが、問題となるほどの発生は認められていない。また、高知県、和歌山県および山口県でも発生が確認されたが、山口県での発生は少ない。
このユズ凹陥性幹腐症の発生原因を究明するとともに防除対策を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 本病害はユズの枝幹部がすり鉢状にくぼみ、木質部まで腐り込む(写真1)。枝に発生すると折れやすくなる。
- 病斑部には春から初夏と秋から初冬の年2回、黄色で盃状、直径1~2mmの子のう盤が発生する(写真2)。腐朽部位からは子のう胞子由来の白色菌叢に類似した糸状菌か高率に分離された。
- ユズの新梢に分離菌の培養菌糸を有傷接種したところ接種木質部に褐変が生じ、接種菌と同一の糸状菌か再分離された。また、接種部には接種後2年目に子のう盤が発生した。
- 本菌のPDA培地上での生育適温は20~25℃で、5℃以下・30℃以上ではほとんど生育しなかった。子のう盤は肉質で柔らかく、周縁に細い毛を有する。子のうはこん棒状、8胞子を含み、大きさは74~96×6~8.4μmある。子のう胞子は無色、ひも状で、数隔膜を有し、大きさは45~67.5×1.8~2μmあり、側糸は細い槍型で、隔膜を有し、先端部は少し細まるが分岐しない(写真3、表1)。
- 本菌はLachnum abnorme(Mot.)Haines&Dumont Mycotaxon19:10.1984.と同定された。本子のう盤菌による病名を「ユズ幹腐病」と命名した。
[成果の活用面・留意点]
- 徳島県、高知県および和歌山県の発生の多い地域はいずれも降水量の多い地域である。
- 防除対策については現在検討中である。
- 幹腐病発生地では、スダチ、ダイダイ、温州ミカン、ポンカン、ジャバラなど他のカンキツでも発生が認められている。
[その他]
- 研究課題名:地域特産果樹の樹勢強化による安定生産技術の確立
予算区分:国補(地域重要)
研究期間:平成10年度(平成9~13年)
研究担当者:貞野光弘、走川由希
- 発表論文等:日植病報、64、437、1998
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