フィブロイン産生の少ない突然変異蚕系統(裸蛹、pNd)の繭層タンパク性状


[要約]
突然変異蚕系統(裸蛹、pNd)の繭層タンパクは、ほぼ100%セリシンで構成されており、繭層タンパクの分子量は普通交雑種(芙・蓉×東・海)と大差ないが、構成アミノ酸が普通交雑種より3種類少なく、セリン、アスパラギン酸の含量が多い。

徳島県立農業試験場鴨島分場・栽桑科
[連絡先]0883-24-2217
[部会名] 蚕糸
[専門] 加工利用
[対象] 蚕
[分類] 研究


[背景・ねらい]
絹タンパクを水溶液化あるいは粉末化して機能性食品素材等に利用する場合、農家現場等での特産品づくりにおいて、薬剤による溶解や透析脱塩等の処理を行うのは困難であるため、沸騰水で簡単に水溶液化できる絹タンパクであるセリシンの利用が効率的である。
そこで、繭層からセリシンをより効率的に回収する目的で、フィブロイン産生の少ない突然変異蚕系統のうち、裸蛹とpNdの繭層タンパク性状を調査した。

[成果の内容・特徴]
  1. 突然変異蚕系統の繭層は、裸蛹、pNdともほぼ100%セリシンで構成されており、量的には、裸蛹で普通交雑種の約l/10、pNdで約l/5である(表1)。
  2. 突然変異蚕系統の繭層タンパクは、裸蛹、pNdとも構成タンパク分子量において普通交雑種と大差はない(図1)。
  3. 繭層タンパクのアミノ酸組成は、普通交雑種は16種類が検出され、グリシン、アラニンの含量が多いのに対し、突然変異蚕系統では裸蛹、pNdともに13種類が検出され、セリン、アスパラギン酸の含量が多い(図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 絹タンパクの機能性食品素材等への利用開発において、突然変異蚕系統(裸蛸、pNd)の繭層を用いると、より効率的にセリシンを回収できる可能性がある。
 
[その他]
研究課題名:蚕桑多目的利用技術
予算区分:県単
研究期間:平成10年度(平成9年~11年)
研究担当者:佐藤泰三
発表論文等:第64回日本蚕糸学会関西支部講演要旨集、1998

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