歩行形管理機を利用した急峻傾斜果樹園の狭幅作業道造成法
[要約]
本造成法は、
片排土ロータリ
を装着して走行速度を低速にした
歩行形管理機
を利用した工法であり、
急峻傾斜果樹園
において
等高線方向
に道幅が30~50㎝の
狭幅作業道
を効率的に造成することができる。
四国農業試験場・地域基盤部・機械施設研究室 [連絡先]0877-62-0800 [部会名]作業技術、傾斜地農業 [専門]機械 [対象]果樹類 [分類]普及
[背景・ねらい]
急峻傾斜果樹園(園地傾斜度25度以上)は、排水や風通しが良く、品質の良い果実が生産できる。しかし、急斜面での作業は身体への負担が大きく、作業時間も長くなる。このため作業道をつける必要があるが、バックホーなどの重機が導入できず、作業道の設置は重労働である。そこで、急斜面であっても作業道が効率的に造成できる作業道造成法を開発する。
[成果の内容・特徴]
急峻傾斜地に道幅の広い作業道を設置した場合、掘削法面の段差が高くなり摘果・採果の作業がしづらくなるとともに、降雨による法面崩壊の危険性が高くなる。このため、道幅を30~50㎝と狭くし、等高線方向の樹列ごとに配置して登坂能力の高い上下方向のモノレールに接続する(
図1
)。
狭幅作業道の造成に用いる歩行形管理機は、以下の条件が必要である(
表1
、
図2
)。
①急斜面での操作性を確保するため、輪距を20㎝と狭くし、所要動力が小さくてすむロータリ幅30㎝の小形管理機が適しており、走行速度は0.7km/hと低速にする必要がある。
②掘削土の排除を円滑に行って歩行形管理機にかかる負荷を低減するため、斜面山側の土を削り、谷側に排土する片排土ロータリを用いる。
③掘削抵抗を低減するため、石やレキを土中からかき出すアップカット方式(上向き掘削)とする。
④安全性を確保するため、土中の岩や根などの障害物に対してロータリ及び車輪がただちに停止する安全機構を設ける。
作業道造成は以下の手順で行う。
①樹木を縮伐して作業道の設置コースに幅80㎝の作業空間を造る。
②モノレール等を利用して園内に歩行形管理機を搬入し、園の上方から作業道を造成する。
③山側に管理機を2~3回通して道幅を広げ、削り取った地面をくわでならし、谷側の盛り上がった土を足や運搬車で踏み固める。なお、切り土部を作業道として利用する。
本工法は、作業道設置に伴う樹木の伐採や縮伐が少なく、急斜面でも作業道が造成でき、造成能率は33~57m/hと効率的である(
表2
)。
[成果の活用面・留意点]
造成した作業道によって足場が確保され、薬液の手散布や刈払機による草刈り作業等の管理作業が楽に行える。また、収穫した果実や肥料運搬に一輪車や小形運搬車が利用できる。
本工法は作業道の設置コースに岩などの障害物がない傾斜25~35度までの果樹園の園内作業道の造成に適用できる。
[その他]
研究課題名:急峻傾斜カンキツ作における軽作業化システムの開発
予算区分:総合研究(地域総合)
研究期間:平成11年度(平成10~14年)
研究担当者:宮崎昌宏、猪之奥康治、角川 修、田中宏明
発表論文等:
農作業学会平成12年度春季大会
宮崎昌宏(2000):急傾斜地カンキツ園での省力化導入技術、農耕と園芸、55(1)、156-158
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