水田地帯における出水(湧水)の硝酸態窒素濃度の周年変化

[要約]
 
水田地帯の出水(湧水)硝酸態窒素濃度は、水田湛水開始直後に上昇するが、以降は徐々に下降して、湛水終了時にはほぼ湛水開始前の濃度に戻る。
年間に出水から湧出する硝酸態窒素総量は、その3分の2が湛水期間内に集中している。
香川県農業試験場・土壌肥料担当
[連絡先]087-889-1121
[部会名]生産環境(土壌肥料)
[専門]環境保全
[対象]
[分類]研究

[背景・ねらい]

農耕地に施用されても作物に吸収されない肥料成分が、地下水等の水質に影響を与えていることが懸念されている。水田地帯においては特に、冬から春期に吸収されなかった肥料成分が水田の湛水期間中に地下水に影響を及ぼすことが考えられる。冬作に裸麦や野菜が多く栽培されている丸亀平野南部の水田地帯は、土器川と金倉川にはさまれた扇状地で、浅層地下水の露頭である出水が数多く存在している。そこで、この地域の16の出水について、硝酸態窒素濃度及び湧水量を測定し、その周年変化を把握することによって、農業生産活動等が浅層地下水の硝酸態窒素濃度に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 出水の硝酸態窒素濃度は、水田の湛水開始直後急に上昇するが、以降は徐々に下降して、湛水終了時の9月下旬頃には湛水開始前の濃度に戻る(図1)。
  2. 水田の湛水期間外であっても出水の硝酸態窒素濃度は、降水の影響を受け、特に、1回の降水量が20mm以上の場合には上昇する(図1)。
  3. 出水からの硝酸態窒素湧出パターンは、年によりやや異なるが、1年間で湧出される1出水当たりの平均硝酸態窒素総量は毎年ほぼ同等で、その3分の2が湛水期間内に集中している(図1図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 西南暖地の扇状地における水田裏作の施肥法改善のための基礎資料となる。
  2. 個々の出水の集水域を正確に把握することが困難なため、栽培作物と硝酸態窒素の濃度変化との関係については明確にできない。

 [その他]
 
研究課題名:環境保全型土壌管理対策推進事業
予算区分:国補(土壌保全)
研究期間:平成11年度(平成9年〜平成11年)
研究担当者:香西清弘、川田陽子
発表論文等:なし
 
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