水稲の荒代入水前乾田施肥法における肥料の種類と施肥時期

[要約]
 
荒代前の畑状態で肥料を散布する乾田施肥法において、高度化成肥料を用いた基肥・穂肥体系では、荒代7日前以内に慣行の基肥量と同量を施肥する。また、緩効性被覆肥料を使用した全量基肥体系では、荒代14日前以内に基肥と穂肥の合計窒素量の2割減量を施肥する。
高知県農業技術センター・作物園芸部・水田作物科
[連絡先]088-863-4916
[部会名]水田・畑作
[専門]栽培
[対象]稲類
[分類]普及

[背景・ねらい]

水稲の一般的な施肥法である植代時の施肥は、湛水状態での作業となり重労働であるため、規模拡大や農家の高齢化、兼業化に対応した施肥の省力化技術が求められている。専用の施肥機を必要としない省力施肥法としては、荒代までの入水前に予め基肥を施用する荒代前乾田施肥法が一部の地域で行われているが、肥料の種類に応じた施肥時期や施肥量の試験例は少ない。そこで、普通期水稲栽培において肥料の種類と施肥から荒代までの日数を中心に、乾田施肥法の確立を行う。

[成果の内容・特徴]
  1. 乾田施肥法では、荒代前の畑状態で肥料を散布し、一定期間内に荒代を行えば、慣行と同程度の収量が得られる(表1図1~2)。なお、散布後から荒代までの期間は耕うんを行わない。
  2. 高度化成肥料を用いた基肥+穂肥体系では、慣行の植代施肥での基肥量と同量を乾田施用する。施肥時期は、極端な減収の見られない範囲から、荒代7日前以内とする(表1図1)。なお、穂肥は慣行と同様に行う。
  3. 緩効性被覆肥料を使用した全量基肥体系では、被覆尿素入り複合444-E80を乾田施用する。施肥量は、慣行の基肥+穂肥体系の合計窒素施用量の2割減量とし、施肥時期は荒代14日前以内とする。なお、施肥量を慣行と同量とすると、多収となるが倒伏程度も大きくなる(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 施肥作業が軽労働化されるとともに、作業時期に幅を持たすことができることから、作業計画策定に余裕ができる。
  2. 保肥力や水持ちの極めて悪い砂質土壌や不良土壌では、施肥から入水、荒代までの期間をより短くする。
  3. 荒代から植代の期間は7~10日間とする。
  4. 田面水が激しく混濁されるほどの大量の水を入水した場合は、施肥ムラを生じるおそれがある。

 [その他]
 
研究課題名:水稲の経営規模拡大に伴う安定生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:平成11年度(平成6年~10年)
研究担当者:山崎幸重
発表論文等:なし
 
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