ハウスミカンの地中加温による生産安定と品質向上

[要約]
 
ハウスミカンの加温開始期から約4ヶ月間,地中加温(地温25℃)を行うことにより,細根活性及び葉の水ポテンシャルは高くなり,光合成速度も速くなる。さらに,有葉花数及び新梢数は多くなり,発芽節率も高く,収穫した果実の着色は良好になる。
香川県農業試験場府中分場・栽培担当
[連絡先]0877-48-0731
[部会名]果樹・傾斜地農業
[専門]栽培
[対象]果樹類
[分類]研究

[背景・ねらい]

ハウスミカンでは,発芽及び着花が不安定となりやすく,安定生産技術の確立が課題となっている。これらの要因としては,加温開始時期の地温が低く,根の活性低下が考えられ,地上部と地下部との生育不均衡を生じることが一因ではないかと考えられている。そこで,地中加温により,地下部の環境を改善することによる,安定生産と品質向上について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. ハウス栽培の「興津早生」について,11月下旬の加温開始から約4ヶ月間,地中20cmの深さに,30cm間隔で埋設した塩ビパイプに30~35℃程度の温湯を循環させると,地温を25℃に保つことができる。無処理と比較して,加温開始から2ヶ月間は約10℃,2ヶ月以降は次第に差が小さくなり,4ヶ月後で約5℃程度の地温上昇効果が得られる(図1)。
  2. 地中加温により,有葉花数及び新梢数は多くなり,発芽節率も高くなる。また,花の子房径は大きく,子房重も重くなるが,生理落果率は高くなる(表1)。
  3. 地中加温開始から約2ヶ月後の葉の水ポテンシャルは加温により高く,光合成速度は早くなる。また,約4ヶ月後の細根活性もわずかに高い。しかし,発芽日や満開日には差が認められない(表2)。
  4. 収穫時における果実の着色程度は,地中加温により良好となる。1樹当たり収量には差は認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 香川県内のもも栽培地域に,適用が可能であると考えられる。
  2. 地中加温により,生理落果が多くなるので,開花期から生理落果期にかけては,最高及び最低気温とも慣行より低温で管理を行う。
  3. 既存ハウスではパイプの設置が困難となるため,新植時の設置が望ましい。

 [その他]
 
研究課題名:ハウスミカン軽労型高品質生産システムの確立
予算区分:地域基幹農業技術体系化促進研究(国補)
研究期間:平成11年度(平成10~14年)
研究担当者:坂下 亨,森末文徳,中西正憲,片山哲治
発表論文等:なし
 
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