樹冠下部分マルチによる温州みかんの品質向上

[要約]
 
樹冠下列状部分マルチ秋雨による糖度低下を防ぎ、全糖還元糖が増加する。さらに果皮色が濃くなり、浮皮軽減し、樹勢の低下は認められない。
愛媛県立果樹試験場・栽培育種室
[連絡先]089-977-2100
[部会名]果樹・傾斜地農業
[専門]栽培
[対象]果樹類
[分類]普及

[背景・ねらい]

通気性多孔質シートの全面マルチ栽培は水分管理が難しく、乾燥年には小玉、酸高、さらに樹勢低下が問題となる。そこで、株元から樹冠下周辺の降雨を遮断する方法、及び株元をわずかに解放して降雨の一部を有効利用する列状の部分マルチと品質との関係を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 干ばつ傾向の年(平成10年)には、日南1号、宮川早生ともに9月中旬の糖度は10%前後まで高まるものの、大量の秋雨後には糖度上昇は止まり、収穫時にはむしろ低下するが、通気性多孔質シートを樹冠下に8月下旬から根域の約80%をマルチすると、両品種とも糖度が1度以上高くなる。また果皮色が濃くなり、日南1号では浮皮の発生が軽減され、果皮障害の発生も少なくなる(表12)。マルチ被覆による樹勢の低下は認められない。
  2. 株元を約20cm開けた部分マルチ(被覆率約80%)においても、夏・秋季多雨年(平成11年)において日南1号の糖度は6月被覆で1度以上、9月被覆で約1度高くなる。山根側の片面マルチでも1度以上高くなる(表3)。また、着色が進み、果皮色が濃くなる。富川早生も同様の傾向となる(表4)。
  3. 日南1号及び宮川早生ともに樹冠下マルチで果実の全糖含量が高くなり、スクロースに対して還元糖の割合が増加する。樹冠下マルチでアミノ酸含量がやや高くなる(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 株元を開ける樹冠下部分マルチは、土壌水分が多い時期に敷くとマルチ下に雑草が繁茂する場合があるので、被覆前に除草剤を散布する等除草を徹底して行う。

 [その他]
 
研究課題名:温州みかんの品質向上試験
予算区分:県単
研究期間:平成11年度(平成7年~継続)
研究担当者:井上久雄、加美 豊、藤井栄一、藤原文孝
発表論文等:なし
 
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