組織培養によるクサソテツの大量増殖法

[要約]
 
組織培養によって,クサソテツ苗を効率よく大量増殖できる。根茎から多芽球体を誘導し,BAを含むMS培地で増殖させる。多芽球体をうらごし処理することにより植物体再生および順化の効率が高くなる。    
徳島県立農業試験場・育種科
[連絡先]088-674-1660   
[部会名]生物工学  
[専門]バイテク
[対象]葉茎菜類
[分類]普及

[背景・ねらい]

クサソテツは,主に東北や北陸地方で人気のある山菜であるが,中山間地域振興のための新しい作物として有望なため,徳島県内でも新たな産地作りが検討されている。しかしクサソテツでは,効率的な繁殖方法が確立しておらず,大量増殖のための組織培養の報告もほとんどなかった。
そこで,観賞用の数種のシダ類で報告のある多芽球体による増殖法を利用し,生育の揃った苗を効率的に大量増殖する方法を確立することを目的とした。

[成果の内容・特徴]
  1. 若い根茎の先端部を殺菌し,2.0mg/lのBAまたはKlNと0.5mg/lのNAAを含むMS培地で培養すると,1カ月から2カ月後に多芽球体が発生する(表1)。
  2. 多芽球体は,分割後1.0mg/1のBAを含むMS培地で30日程度の間隔で継代することにより,15倍程度に増殖する(表2)。
  3. 多芽球体を分割し1/2濃度の液体MS培地で1週間振盪後,目開き2mmのメッシュでうらごし操作した直径1mm以上の多芽球体を1週間振盪培養する処理(うらごし処理)を2回繰り返し,1/2濃度のMS固形培地に播くことにより,効率的に植物体が再生し,順化時の労刀が少なくなり,活着率が向上する。(表3)。
  4. これらの操作を組み合わせることにより,1本の根茎から,約半年で1万本程度の苗が生産できる(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 新しい産地を育成したり,栽培面積を拡大する場合,あるいは景観植物として法面や開墾地に大量に植える場合などに,効率的な種苗生産法として活用できる。
  2. 初代培養は雑菌汚染が起こりやすいので,なるべくきれいな材料を用いる。

 [その他]
 
研究課題名:クサソテツの優良種苗の大量増殖技術の開発
予算区分:国補(民間支援)
研究期間:平成11年度(平成7年~11年)
研究担当者:井内美砂,川村泰史,後藤昭文
発表論文等:1.クサソテツの組織培養による大量増殖(第1報)多芽球体の増殖条件,徳島農試研究報告,第33号,1997
          2.クサソテツの組織培養による大量増殖(第2報)多芽球体の誘導および植物体再生,徳島農試研究報告,第35号,1999
 
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