サツマイモ立枯病抵抗性の簡易検定法
[要約]
サツマイモの茎
を長さ3cmに切り,
サツマイモ立枯病菌(
Streptomyces ipomoeae
)
懸濁液に浸した後,バーミキュライトに挿し,5日~7日後に病斑数を調査することにより,迅速に
サツマイモ立枯病
の簡易な
抵抗性検定
ができる。
徳島県立農業試験場・育種科 [連絡先]088-674-1660 [部会名]生物工学 [専門]育種 [対象]根菜類 [分類]研究
[背景・ねらい]
徳島県東部のサツマイモ栽培地帯では,高系14号の選抜系統である「なると金時」を砂地畑で栽培し,高収益を上げている。高系14号は立枯病抵抗性がやや弱で,クロルピクリンによる土壌消毒が不可欠であるが,環境問題への意識の高まり等により,将来使用が制限される可能性が高い。このため培養変異等を利用して,立枯病に強い「なると金時」の育成に取り組んでいるが,育種を効率的に進めるためには,カルスからの再分化個体等の立枯病抵抗性を迅速に検定する必要がある。
そこで従来の圃場検定やポット検定および塊根スライスを用いた検定の代わりに,切断茎を用いた効率的な立枯病抵抗性検定法を確立することを目的とした。
[成果の内容・特徴]
サツマイモ立枯病菌は,lSP‐2液体培地で約3日間振とう培養(35℃)し,1mm目のふるいでろ過し,遠心(6000rpm,15分間)後重量測定し,lSP‐2液体培地で50g用に希釈する。
温室で育成した植物の茎を,茎頂から約5cmより下で長さ約3cmに4本切り取り,菌懸濁液に上側の切り口以外の部分を数秒間浸した後,128穴セルトレイに入れたバーミキュライトに1穴につき2本ずつ揮す。インキュベーター内で乾燥しないように約30℃に保ち,5日から7日後に病徴を調査する(
図
)。
病斑の数により発病指数をつけ,その全茎の平均値により判定する。
発病指数0:0個,1:1~2個,2:3~9個,3:10個以上,4:全体が黒変
判定基準(平均値を小数点第1位で四捨五入した値)
0:強,1:やや強,2:中,3:やや弱,4:弱
簡易検定の結果は,圃場検定による抵抗性の強弱の傾向とほぼ一致する(
表
)。
[成果の活用面・留意点]
順化後1カ月程度の苗に適用でき,元の株が保存されるため,突然変異育種での抵抗性個体選抜等に利用できる。
検定中の腐敗を防ぐため,被検定植物は軟弱にならないように育成する。
茎の細い品種は,腐敗や黒変を起こしやすく,検定結果と抵抗性が異なる場合がある(「春こがね」等)。
[その他]
研究課題名:
安定生産のための立枯病抵抗性・高品質サツマイモの育成
予算区分:県単
研究期間:平成11年度(平成9~13年)
研究担当者:
井内美砂,川村泰史
発表論文等:
日本育種学会第97回講演会,2000
目次へ戻る