周年マルチと点滴潅水施肥による極早生温州の高品質果実生産
[要約]
極早生温州
では
周年マルチ
と
点滴潅水チューブ
による
潅水施肥
の併用により、気象条件に左右されずに
高品質果実安定生産
ができ、マルチ被覆・撤去・肥培管理の
省力化
と、減肥による
環境保全型栽培
が可能となる。
四国農業試験場・総合研究部・総合研究第1チーム [連絡先]0877-62-0800 [部会名]傾斜地農業・果樹 [専門]栽培 [対象]果樹類 [分類]普及
[背景・ねらい]
極早生温州ミカンは一般的に糖度が低く当該シーズンのカンキツの低価格を誘引し易い。また、各地に非破壊品質選果機が導入され、果実ごとの内部品質による選別が可能となったため、栽培農家は高品質果実生産を迫られている。一方、高品質化のために広く用いられているマルチ栽培は被覆・撤去作業の労働負担が大きく、栽培面積の拡大が困難である。また、過度の乾燥ストレスによる高酸果実の発生、樹勢の低下が懸念されており、気象条件に左右されず、樹勢を衰弱させない高品質・省力・安定栽培技術がもとめられている。
[成果の内容・特徴]
点滴潅水チューブによる潅水施肥により、周年マルチ条件での栽培が可能となる。透湿性マルチの張り替えは3年に1回行い、被覆・撤去の労力を通常のマルチ栽培の1/3に削減できる。施肥は5月下旬から8月下旬まで窒素濃度150ppmの液肥を10L/樹・週3回、収穫後11月下旬までは週2回、乾電池駆動電磁弁と液肥混入機によって自動的に行い、肥培管理を省力化できる。施肥量は15kg/10aで慣行栽培の25kg/10aの60%に削減できる。
周年マルチ下点滴潅水施肥法は、秋の長雨等のため全般に品質が悪い年次には、周年マルチにより乾燥ストレスを付与でき、慣行栽培より平均糖度で約2度高い果実を生産できる(
図1
)。本法は、夏期に干ばつの年次には、点滴潅水チューブによる潅水で、過度の乾燥ストレスを緩和し、糖度11度以上、酸度1.1%以下の高品質果実割合を慣行栽培の20%から75%に増加できる(
図2
)。
3年間の周年マルチ栽培後にも、樹勢衰弱は認められない(
写真1
)。収穫量は、移植5年後に2.9t/10aとなり、慣行栽培条件の3t/10aの水準に達する(
表1
)。
設置にかかる初期費用は、約35万円/10aで、収穫量を3t/10a、資材使用期間を周年マルチ3年、点滴チューブ、電磁弁及び液肥混入機を10年と想定した場合、果実1kgあたりの所要経費は、約22円である。
[成果の活用面・留意点]
潅水施肥量は樹齢により増減し、マルチ張り替え時に、堆肥などを投入する。
豪雨時には圃場の表面流去水が増加するので、下流となる圃場、用水路で事前対策が必要である。
[その他]
研究課題名:中山間カンキツ作における軽労型高品質果実生産技術体系の確立-傾斜地園における軽労型根群域改善法の開発-
予算区分:
総合研究(地域総合)
研究期間:
平成12年度(平成10~14年)
研究担当者:吉川(山西)弘恭、中尾誠司、長谷川美典
発表論文等:露地栽培温州ミカンの周年マルチによる高品質果実生産 園学雑69(別2) 279. (2000), A Drip Irrigation System under Year-round Plastic Sheet Mulch to Improve the Quality of Satsuma Mandarin (
Citrus unshiu
) Fruits. 9th I SC Conference Abstracts 141. (2000)
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