イチゴ高設・バッグ式養液栽培システムにおける培地の太陽熱消毒

[要約]
イチゴ高設・バッグ式養液栽培システムにおけるバッグ内の培地は,夏期高温時にハウス上部の被覆を行うとともに,0.02mm以上の厚さのフィルムでバッグを被覆することで,病原菌を死滅させるのに十分な温度が確保でき,太陽熱利用による培地の消毒ができる。
香川県農業試験場・病害虫担当
[連絡先]087-889-1121
[部会名]生産環境(病害虫)
[専門]作物虫害
[対象]果菜類
[分類]普及

[背景・ねらい]

本県のイチゴ栽培産地において省力化,生産の安定化の観点から香川型イチゴ高設・バッグ式養液栽培システム(イチゴらくちん栽培システム)の栽培面積が増大してきている。一方,産地ではバッグの連年使用が嘱望されているが,多年使用により土壌伝染性病害の発生が懸念される。小玉ら(1979)によると,湛水条件の太陽熱消毒においてイチゴ萎黄病菌は自然病土で40℃で8~14日間,45℃で6日間,50℃で2日間,55℃及び60℃で12時間の積算時間を確保することで死滅するとしている。そこで,太陽熱を利用した培地の効果的な消毒条件を明らかとする。

[成果の内容・特徴]
  1. イチゴ高設・バッグ式養液栽培システムにおけるバッグ内培地を夏期高温時にハウス被覆下で,かつ,バッグをフィルムで被覆することで,病原菌の中では耐熱性の高いイチゴ萎黄病菌の消毒に有効な培地温積算時間(小玉ら,1979)が確保できる(表1表2)。また,太陽熱消毒によりイチゴクラウン部の病原糸状菌は完全に死滅する(表3)。
  2. 0.05mm以上の厚さの透明ビニルフィルムでは,0.02mmの厚さの黒色ポリエチレンフィルムによる被覆よりも培地温上昇効果が高く,短期間で消毒が可能となる(表2)。
  3. 被覆方法ではフィルムをバッグに巻き付けるように被覆しても,バッグ上部を覆い下部を被覆せずに下に垂らした状態にした被覆でも,消毒効果は変わらない(表1表2)。
  4. 太陽熱消毒はハウスサイドを開放した条件でも効果がある(表2表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 培地の水分含率が消毒効果に影響するため,被覆前に培地に十分量の水分を与える。
  2. 下部を垂らした被覆法では,風等により被覆が外れないように注意が必要である。

 [その他]
 
研究課題名:臭化メチル代替新防除技術を核とした野菜類の持続的安定生産技術の確立
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:平成12年度(平成11~15年度)
研究担当者:森 充隆、十河和博
発表論文等:四国植物防疫研究,35:55.(2000)講要
 
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