天敵を利用した促成栽培ナスにおける総合的害虫管理
[要約]
防虫ネット
による開口部被覆、
定植時粒剤処理
、天敵として
タイリクヒメハナカメムシ
、
導入寄生蜂(イサエアヒメコバチ、ハモグリコマユバチ)
の放飼およびこれらの天敵に影響の少ない
選択性殺虫剤
を組み合わせた
総合的防除体系
により、
促成栽培ナス
における主要害虫の防除が可能である。
高知県農業技術センター・生産環境部・昆虫科 [連絡先]088-863-4915 [部会名]生産環境(病害虫) [専門]作物虫害 [対象]果菜類 [分類]研究
[背景・ねらい]
環境保全型農業を推進する上で、害虫防除面においては天敵、物理的防除法等を活用し、化学合成農薬の使用量を必要最小限に抑えた総合的な防除技術の開発が求められている。 そこで、促成ナスにおいて天敵類の効果的な利用法を明らかにするとともに天敵類、物理的防除法及び選択性殺虫剤を組み合わせた総合的害虫管理技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
防虫ネット(目合い1mm以下)による開口部被覆、定植時のネオニコチノイド系粒剤の土壌処理により、本圃初期のアザミウマ類、アブラムシ類、コナジラミ類の発生を抑えることができる。特に、アブラムシ類に対する効果は高く、翌年2月頃まで発生はほとんど見られない。
タイリクヒメハナカメムシ成虫を1月中、少なくとも中・下旬に放飼すれば、その後生殖休眠することなく継続的に繁殖が認められ、長期間にわたってアザミウマ類の密度を低く抑えることができる(
図1
、
2
)。
マメハモグリバエの発生初期に導入寄生蜂(イサエアヒメコバチ、ハモグリコマユバチ)を1週間間隔で2回放飼すれば、その後栽培終期まで薬剤に頼ることなくマメハモグリバエの発生を少なく抑えることができる(
図3
)。
アブラムシ類の発生は1.に示した防除対策で2月頃まで発生を抑えることができるが、3月以降有翅虫が頻繁に侵入し始める。しかし、殺虫剤の使用回数が少ない本防除体系下では土着天敵が活発に働くため、高密度になることは少ない。
コナジラミ類の発生は、12~1月の間にアザミウマ類防除にピリプロキシフェン乳剤を使用するため、ほとんど問題にならない。
天敵を保護するため、アザミウマ類の密度が高くなった場合にはピリプロキシフェン乳剤、アブラムシ類の密度が高くなった場合にはピメトロジン水和剤、ハスモンヨトウが発生した場合にはBT剤、ハダニ、チャノホコリダニが発生した場合にはミルベメクチン乳剤、キノキサリン系水和剤等の選択性殺虫剤を使用する。
[成果の活用面・留意点]
本試験では、天敵としてタイリクヒメハナカメムシを10月上旬(2頭/株)、12月末(3頭/株)に放飼、マメハモグリバエの導入寄生蜂を11月中旬に1ボトル/2a、2回処理し、受粉にはマルハナバチを利用した。夜間の最低温度は13℃に設定した。
本防除体系では天敵に影響のあるクロルフェナピルフロアブルやエマメクチン安息香酸塩乳剤を使用しないため、ハダニやチャノホコリダニの発生が多くなる。
3月以降は土着天敵を有効に活用するため、天敵に影響のある薬剤の使用を控える。
タイリクヒメハナカメムシとマメハモグリバエの導入寄生蜂はナスでは未登録である。
[その他]
研究課題名:天敵を利用した促成ナス、キュウリにおける総合的害虫管理技術の確立
予算区分:県単
研究期間:平成12年度(平成9年~11年)
研究担当者:高井幹夫
発表論文等:なし
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