牛舎タイプによる乳牛の防暑対策開始時期判断技術

[要約]
乳牛の暑熱ストレスは牛舎内風速の上昇および牛舎容積当たりの開口部面積の拡大によって軽減され、屋根部材がスレート+断熱材、牛舎周囲が林の場合に最も小さくなる。風速や牛舎構造等が暑熱ストレスに及ぼす影響を体感温度差に換算した値から牛舎タイプ別に防暑対策を開始する体感温度域が判断できる。
  高知県畜産試験場 大家畜科
   [連絡先]0889-22-004
    [部会名]畜産 
  [専門] 飼育管理 
  [対象] 乳用牛 
    [分類] 指導 

[背景・ねらい]

乳牛に対する防暑対策をより効果的に実施するため、牛舎内の風速、牛舎構造および周辺環境が繋養牛の生理反応に及ぼす影響を調査し、牛舎タイプ(牛舎内風速、牛舎開口部面積、屋根部材、周囲環境)別に繋養牛に対する暑熱ストレス負荷を検討する。また、酪農家個々の牛舎タイプに基づいて防暑対策開始時期を判断する手法を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 風速の上昇および牛舎容積当たりの開口部面積の拡大によって呼吸数、直腸温、平均体温(0.86×直腸温+0.14×体表面温度平均)が低下する。風速が0.5m/秒以上、開口部面積が牛舎容積1m当たり0.06m以上で暑熱ストレス軽減が期待できる(図1)。
  2. 各生理反応に対する影響を屋根部材(スレート、スレート+断熱材、その他)で比較すると、スレート+断熱材(厚さ2~3㎝)が暑熱ストレス軽減に最も優れ、牛舎周囲 環境(牛舎隣接、田園地帯、中山間地で林)の比較では林に囲まれている牛舎が暑熱ストレスを受けにくい(図1)。
  3. 風速や牛舎構造等が各生理反応に及ぼす影響を体感温度値(0.35×乾球温度+0.65×湿球温度)差に換算し各要因のF値により加重平均すると表1のようになる。これらの値を個々の牛舎タイプに照合して合計することで、その牛舎における防暑対策開始体感温度域が判断できる。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は一般の酪農家牛舎において慣例的な防暑対策(送風、換気、ダクト送風)を実施している際に収集したデータを基に、調査牛の産次と乳量、牛舎内の体感温度を考慮した統計モデルにより解析したものである。
  2. 乳牛の暑熱ストレスは風速や牛舎構造等によって異なるが、体感温度に最も影響されることから、暑熱ストレス軽減には体感温度に基づく防暑対策が必要である。
  3. 牛舎の開口部面積は搾乳牛舎の開口部を合算したもので、開口部に育成牛舎や堆肥舎等が併設されている場合は、その面の開口部面積に0.3 ~0.5程度を乗じて補正する必要がある。

 [その他]
 
研究課題名:乳牛夏バテ症候群の実用的早期発見技術の開発と効果的対応技術の実証
予算区分:国補(地域実用化研究)
研究期間:平成12年度(平成9~12年度)
研究担当者:
萩原一也、日浦千尋
発表論文等:
高知県畜産試験場研究報告掲載予定
 
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