モンシロドクガ、モンシロチョウ培養細胞系の樹立

[要約]
害虫の生物的防除に用いる天敵ウイルスを増殖するため、モンシロドクガの蛹卵巣および脂肪体より7株、またモンシロチョウの蛹卵巣より2株の培養細胞系を樹立した。  
徳島県立農業試験場 鴨島分場 養蚕科
[連絡先]0877-62-0800
[部会名]野菜・花き・茶(茶・蚕糸)
[専門]バイテク
[対象]昆虫類
[分類]研究

[背景・ねらい]

天敵ウイルスを利用した害虫の生物的防除は、人畜に無害であり、抵抗性が発達しにくい等の有利な点が多い。しかし、現在のウイルス生産は、飼育した宿主昆虫にウイルスを接種し、虫体内で増殖したウイルスを回収するという方法で行われているため、多大の労力を要する等の問題点が残されている。そこで、省力的かつ安定的に天敵ウイルスを生産するため、天敵ウイルスの増殖に用いる農業害虫の培養細胞を系を作出する。

[成果の内容・特徴]
  1. モンシロドクガ7株、モンシロチョウ2株の培養細胞系が得られた(図1)。
  2. 初代培養に用いる蛹卵巣は蛹化~羽化間の中期頃が適当である。
  3. 培地は牛胎児血清を10%量添加したIPL-41培地を用いる。
  4. 初代培養期間は、モンシロドクガ130~252日、モンシロチョウ160~300日である。
  5. ME、G6PD、LD、PGM、PGI、ICDの6種のアイソザイム泳動パターンを調べた結果、同一種の株間に相違はないが、他種株間では明らかな相違がみられる(図2)。
  6. カイコ核多角体病ウィルス(BmNPV)アメリカシロヒトリ核多角体病ウィルス、(HcNPV)、Autographa californica(キンウワバの一種)核多角体病ウィルス(AcNPV)を用いて樹立細胞系のウィルス感受性を調べた結果、AcNPVに対してモンシロドクガの3細胞系およびモンシロチョウの細胞系が感受性である(表1図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 天敵ウィルスであるモンシロドクガ核多角体病ウィルス(EsNPV)、モンシロチョウ核多角体病ウィルス(PrNPV)、モンシロチョウ顆粒病ウィルス(PrGV)に対する感受性を調べる必要がある。
  2. 細胞レベルでの昆虫機能研究に利用できる。

 [その他]
 
研究課題名:昆虫の培養細胞による天敵ウィルスを利用した生物的防除技術の開発
予算区分:県単
研究期間:平成12年度(平成10~12年)
研究担当者:平川 文男、左達 美佐
発表論文等: 日本蚕糸学会関西支部第66回合同研究発表会講演要旨集、2000     
 
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