愛媛県在来ナス‘松山長’および‘絹皮’の葯培養法

[要約]
愛媛県在来ナス‘松山長’および‘絹皮’の葯培養において、低温期の一核期花粉を含む葯を供試すると、効率的にカルスが誘導できる。カルスを1~10mg/リットルのカイネチンを添加した培地に置床することにより、2倍体再分化個体が得られる。
愛媛県農業試験場・作物育種室
[連絡先]089-993-2020
[部会名]生物工学
[専門]バイテク
[対象]果菜類
[分類]研究

[背景・ねらい]

愛媛県中予地方に在来の‘松山長’は、果皮が柔らかく食味の良い長ナスであり、東予地方に在来の‘絹皮’は肉質が緻密で食味の良い丸ナスである。今後、これらの在来ナスを育種に取り入れ、地域特産品種の育成を目指す。そこで、本県在来ナスを利用した育種の効率化を図るため、葯培養に適する材料・培地および葯採取時期を明らかにする。 

[成果の内容・特徴]
  1. 低温期(10月以降)にある萼先の閉じた大きな蕾中の一核期花粉を含む葯を5℃・5日間処理後、35℃・暗黒下で1週間培養し、次いで25℃・16時間日長下(3000ルクス)で20日程度培養すると、葯内部から高い再分化能を有する黄色粒状カルスが効率的に誘導できる(表1図1)。
  2. 1で使用するホルモン組成は、0.1mg/リットルの2,4-Dおよびカイネチンの組み合わせが適している(表2)。
  3. カルスを1~10mg/リットルのカイネチンを添加したMS培地に置床することにより、効率的に不定芽が形成され(表3)、次いで不定芽をホルモンフリー下で培養することにより、発根した再分化個体が得られる。
  4. 松山長×絹皮のFの葯培養により得られたカルス経由の再分化個体には、高い割合(88%)で自然倍加した2倍体が存在する。
[成果の活用面・留意点]
  1. 今回確立した方法により、‘松山長’および‘絹皮’を用いた育種が効率的になる。
  2. 花粉由来カルスと花糸由来カルスを識別し、前者を正確に採取することに留意する必要がある。

 [その他]
 
研究課題名:葯培養によるナス品種の育成
予算区分:県単
研究期間:平成12年度(平成11~13年)
研究担当者:永井賢治
発表論文等:日本育種学会四国談話会にて発表予定
 
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