立毛でのイネ未受精胚由来カルスの誘導・採取法
[要約]
幼穂を包む
立毛
の
イネ
止葉葉鞘内へ植物ホルモンの2,4-Dを注入し,10日後幼穂を露出することで,再分化能の高い
未受精胚由来カルス
を
省力的
に採取できる。
愛媛県農業試験場・作物育種室 [連絡先]089-993-2020 [部会名]生物工学 [専門]バイテク [対象]稲類 [分類]研究
[背景・ねらい]
イネの未受精胚カルス培養法は,育種年限短縮につながる技術として注目されている。しかし,鉢上げしたイネに2,4-Dを処理し温室で管理する従来法は,扱える個体数が限られ省力性に欠ける。そこで,この問題を克服し育種の効率化を図るため,立毛での未受精胚の由来カルス誘導法・採取法を確立する。
[成果の内容・特徴]
出穂1~3日前の幼穂を含む立毛のイネ葉鞘内へ1,000ppmの2,4-Dを注入すると,40日後には未受精胚由来のカルスを採取できる
(図1
)。イネを鉢上げ管理する必要がないため省力的である。
1の操作による未受精胚由来カルス形成数/穂は,鉢上げイネを用いる場合と同程度,ないしはそれより多い(
表1
)。注入処理10日後,葉鞘内にとどまっている幼穂を葉鞘より露出することで,未受精胚カルスの形成率が高まる。
カルス誘導条件による再分化率の変動差は,ほとんどない(
表1
)。
未受精胚由来カルスの採取は,穎果に光を当て,影が生じた子房ごと採取することで簡便に行える。
立毛のF
1
個体へ2,4-Dを処理しても再分化個体を獲得できる(
表2
)。なお、交配組み合わせにより未受精胚由来カルス形成率,再分化率が異なる場合がある。
[成果の活用面・留意点]
立毛のイネを用いることで省力的に多くの個体が扱えることから,育種の効率化が図れる。
未受精胚由来カルスの再分化率の品種間差に留意する必要がある。
[その他]
研究課題名:葯及び未受精胚培養による水稲品種の短期育成
予算区分:県単
研究期間:平成12年度
研究担当者:玉置 学
発表論文等:
1.イネの未受精胚を利用した半数体の作出法,育雑,47(別2),365,1997
2.イネの未受精胚を利用した半数体育手法,日本育種学会四国談報,33, 13-16,1999.
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