品種詳細

なつしずく

ニホンナシ品種「なつしずく」は早生の青ナシです。食味、果実肥大とも良好で、果面のさびが少なく、無袋栽培でも外観がきれいに仕上がるため省力化が期待できます。名前は夏に採れるみずみずしいナシをイメージしたもので、夏場に出回り消費者に喜ばれる品種として広く普及することを願って名づけられました。

主要特性

  • 樹勢はやや強く、枝梢の発生はやや少ないです。腋花芽の着生はやや少なく、短果枝の着生は中です。開花期は「幸水」とほぼ同時期です。「筑水」、「あきづき」と不和合ですが、「幸水」、「豊水」、「二十世紀」とは和合性です。関東では「幸水」より一週間ほど早い8月中旬に成熟する早生の青ナシです。若木の収量は「幸水」と比較するとやや劣っていますが、「八里」より優れています。黒斑病には抵抗性で、黒星病その他の病害虫に対しては慣行防除で対応できます。
  • 果形は扁円形で、完熟果の果皮色は黄緑色です。平均果実重は326gと早生品種としては大果であり、「幸水」と同程度の大きさです。肉質はち密で柔らかく果汁も多いです。果汁の糖度は12%程度と甘く、pH5.3程度と酸味は弱いです。「幸水」とほぼ同程度の果実品質を持ち、優れた食味です。また、無袋栽培でも果面のサビが少なく美しく仕上がります。芯腐れの発生はほとんどみられませんが、みつ症はまれに発生することがあります。果実の日持ち性は25°Cで1週間前後で「幸水」と同程度です。

表1.「なつしずく」(系統番号:ナシ筑波50号)の特性

図1.「なつしずく」(系統番号:ナシ筑波50号)の結実状況

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
18647
(2005年8月11日)
2006年3月 7日 16480
(2008年3月13日)
30年
(満了日:2038年3月13日)
交配組み合わせ 旧系統名
平塚25号(幸水×菊水)×筑水 ナシ筑波50号

栽培適地

全国のニホンナシ産地で栽培できます。

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:なし農林23号

登録年月日:2005年9月15日

育成担当者

壽 和夫、齋藤寿広、阿部和幸、澤村 豊、佐藤義彦、寺井理治、正田守幸、鈴木勝征、高田教臣、木原武士、西端豊英、栗原昭夫、平林利郎、佐藤明彦、樫村芳記、小園照雄、福田博之、内田 誠

発表論文

果樹研究所研究報告9号, p.11-22(2009-04) : ニホンナシ新品種'なつしずく'