研究活動報告

「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」開発・製品化部門(適応分野)大賞を受賞しました

情報公開日:2021年12月17日 (金曜日)

農研機構が代表機関をつとめる<w天敵>コンソーシアムが、「令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰」において「開発・製品化部門(適応分野)」の大賞を受賞しました。

http://www.env.go.jp/press/110178.html
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/min_action_award/winners.html

令和3年度気候変動アクション環境大臣表彰 表彰式/フォーラム
https://www.youtube.com/watch?v=RdVKqaHxX4Q
(開発・製品化部門 大賞受賞者功績発表 2:28:40から)

受賞対象業績

取り組み名

気候変動による害虫増殖から果樹を守る<w天>防除体系の開発

受賞団体

<w天敵>コンソーシアム(代表機関 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)

取り組み概要

近年、温暖化の影響でハダニの発生が激増し、果樹生産における被害拡大が懸念される。ハダニの発育は気温の上昇によって早まり、気温25°Cであれば2週間で70倍に増えるところ、30°Cでは同じ期間で400倍に増加する。しかし従来の薬剤による防除法では、ハダニの薬剤抵抗性が発達してさらに防除が困難になる。そこで本取り組みでは薬剤への依存をできるだけ少なくした防除法として、土着天敵と天敵製剤を用いた<w天>防除体系を構築した。①天敵に配慮した薬剤利用、②天敵に優しい下草管理、③天敵製剤による土着天敵のアシストの3本柱で、最低限の薬剤利用でハダニを抑制できることを検証した。一例として、秋田県のリンゴ園では、従来法では年3回以上の薬剤散布でもハダニの増殖を抑制できなかったのに対し、<w天>防除体系を導入することで薬剤散布を年1回に減らしながら、ハダニ密度を要防除水準以下に抑えた。
薬剤散布の回数を減らして生産者の負担を軽減し、減農薬栽培でもハダニの増殖を抑えて果物の安定生産を可能にする。薬剤使用量を最低限にすることで環境保全にも貢献し、果物の安定生産と環境保全を両立した「持続可能な果樹栽培」を実現する。

左:環境省 正田寛地球環境審議官
右:農研機構 植物防疫研究部門 眞岡哲夫所長
左から:外山晶敏上級研究員(植物防疫研究部門果樹茶病害虫防除研究領域検疫対策技術グループ)、岸本英成上級研究員(植物防疫研究部門果樹茶病害虫防除研究領域果樹茶生物的防除グループ)、眞岡所長

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