優れた業績を発表し、さらに発展を期待しうる若手研究者に贈られる日本土壌肥料学会奨励賞を次世代作物開発研究センターの田中伸裕研究員が受賞しました。
受賞
第38回日本土壌肥料学会奨励賞
受賞対象
イネの無機栄養吸収蓄積と成長制御に関する分子生理遺伝学的研究
受賞者
次世代作物開発研究センター 基盤研究領域 育種素材開発ユニット 研究員 田中 伸裕
受賞日
2020年5月8日
受賞業績の概要
イネは世界三大穀物の一つですが、収量の伸びは鈍化しています。また、可食部のミネラル分不足や有害元素の蓄積など、食料の安定・安全供給のために解決すべき課題は山積しています。このような背景から、イネの無機栄養吸収メカニズムを明らかにすることで、生育の改善や有害元素の低減を目指した研究業績に対して、日本土壌肥料学会奨励賞が授与されました。
- 植物の必須栄養素の1つであるホウ素の輸送体OsBOR4が正常な花粉管の伸長や発芽に必須であることを示し、花器官におけるホウ素の機能を初めて明らかにしました。
- イネ変異体集団の大規模な元素分析により複数の金属濃度が減少する変異体を単離し、新規転写制御因子OsTTAが、複数の金属輸送体の発現を促進することを示しました。この研究は、イネのミネラル分の増強や有害金属元素の低減に寄与する可能性があります。
- 農業現場で知られる栄養欠乏による早咲き現象を明らかにする研究から、栄養開花機構に関わる新規遺伝子を同定しました。この成果は、土壌の栄養状態が異なっても開花期がバラつかないイネの作出に寄与することが期待できます。

