プレスリリース
(お知らせ) 農研機構の書庫で眠っていたガラス乾板を発見

- 大正期~太平洋戦争末期頃の農事試験場界隈の風景を復元 -

情報公開日:2018年10月19日 (金曜日)

ポイント

  • 農研機構農業技術革新工学研究センター(旧農業機械化研究所:さいたま市)の書庫から古いガラス乾板1)が700枚以上発見されました。
  • 大正期~太平洋戦争末期(推定)の農機具や試験・鑑定風景が収録されています。
  • 整理・分類後に公開予定です。

概要

ガラス乾板に写っていた風景
ガラス乾板に写っていた風景
  2015年春、農研機構農業技術革新工学センター(以下、革新工学センター)さいたま本所の書庫を整理した際に、古いガラス乾板が多数発見されました。ガラス乾板を清拭し、転写したところ、主に大正期~太平洋戦争末期頃と思われる写真が時代を超えて鮮やかによみがえりました。

  革新工学センターは、農事試験場鴻巣(こうのす)試験地の農機具部(大正12年設立)をその前身とし、当時から農機具の開発や検査を行っていました。今回、発見されたガラス乾板は700枚を超え、うち約200枚は割れ・カビ等により判別不能でしたが、残る500枚ほどの復元に成功しました。

  ガラス乾板には、畜力用犂(すき)、人力脱穀機、石油エンジン、籾摺(もみすり)調製機などの試験・鑑定風景や、農家庭先での農作業風景の他、中には時代を反映して出征を控えた職員の記念写真なども写っています。現在、OBからの聞き取りや残存する文献・年史の調査、インターネット検索をもとに、写っている人物や場所、年代など詳細情報の特定を進めております。

  これらガラス乾板に写し撮られた風景は、当時の世相や農具の変遷の一端を知る上で貴重な資料です。折から明治150年の今年、革新工学センターでは「温故知新」の精神の下、ガラス乾板を整理・分類し、資料館やイベントにて実物を公開する予定です。

  今回のガラス乾板以外に、古いフィルムや版木、銅板写真(厚い木片に銅板が接着されたもの)なども一緒に発見されました。これらも順次、整理・分類を進める予定です。

  なお、ガラス乾板の詳細情報を特定するのに当たり、当時の農事試験場の状況をご存じの方からのご連絡・ご協力をお待ちしています。連絡は広報担当者:藤井・藤岡(TEL 048-654-7030)までお願いいたします。

参考図

農事試験場鴻巣試験地 農機具部新館 研究職員によるエンジン試験の様子
農事試験場鴻巣試験地 農機具部新館 研究職員によるエンジン試験の様子
乗用トラクター CLETRAC MODEL W 米俵用の薦(こも)を編む少年
乗用トラクター CLETRAC MODEL W 米俵用の薦(こも)を編む少年

用語の解説

1) ガラス乾板 ・・・ 感光する乳剤を塗ったガラス板。
1871年にイギリスで発明された。日本では、主として明治期~太平洋戦争頃まで使われた。