プレスリリース
(お知らせ) 農業機械技術クラスター実施課題を新たに追加

- 地域農業の機械化支援と革新コア技術実用化を目指す4課題を開始 -

情報公開日:2019年4月16日 (火曜日)

ポイント

  •   農業機械技術クラスターの実施課題に4課題を新たに追加し、2019年度は13課題を実施します。地域農業の機械化を支援する課題を中心に、次世代技術の実用化を目指す課題を織り交ぜ、引き続き現場からの要望に応えてまいります。

概要

  農研機構農業技術革新工学研究センターでは、研究推進に当たり、行政、異分野を含む民間企業、生産者や指導機関の意見を反映しうる仕組みとして「農業機械技術クラスター」(以下、技術クラスター)を2018年4月に設立し、関係機関との連携をこれまで以上に密にして業務を遂行する体制を整えました。

  技術クラスターで扱う研究課題は、1.地域農業機械化支援タイプ(地域固有の農業機械開発に対応するための共同研究)、2.革新コア技術実用化タイプ(野菜・果樹等民間における開発を一層加速化するための革新的な実用化技術の共同研究)、3.次世代革新基盤技術タイプ(次世代の革新的な機械・装置の萌芽となる基本・基盤技術の共同研究)の3つに分類して実施しております。

  この度、技術クラスターが実施する課題を検討した結果、研究課題として4件(うち1課題は2018年度途中より実施)を選定、開始いたしましたので報告します。

  なお、技術クラスターでは引き続き現場からの要望を受け付け、課題化に向けた検討を進めることとしております。

研究課題一覧

    • (1) りんご黒星病発生低減のための落葉収集機の開発
      (研究期間:2018~2021年度、地域農業機械化支援タイプ(園芸))
      [目的] りんご黒星病は農薬が効かない耐性菌が確認され、感染拡大の防止が急務となっている。発生源となる被害落葉を収集・除去する耕種的防除が有効であるが、主産地の青森県では秋の落葉後に積雪するため、雪解け後に地面に張り付いた落葉を収集する作業は困難である。そこで、落葉を効率的に収集できる落葉収集機を開発する。

    • (2) 落花生用自走式拾い上げ脱莢機の開発
      (研究期間:2019~2021年度、地域農業機械化支援タイプ(園芸))
      [目的] 近年、落花生用のシーダーマルチャや掘取機が実用化され、掘取作業までは機械化体系が確立された。しかし、地干し後の株の集積と脱莢作業は手作業に頼っているため、脱莢作業の機械化に対する要望が高まっている。そこで、主産地の栽培様式や圃場規模に適合し、圃場間移動などの取扱性に優れる、自走式の拾い上げ脱莢機を開発する。

    • (3) ハクサイ頭部結束機の開発
      (研究期間:2019~2021年度、地域農業機械化支援タイプ(園芸))
      [目的] ハクサイは移植機や収穫機が開発され、比較的機械化が進んでいる。しかし、加工・業務用途で需要の高い越冬用ハクサイでは、凍害防止のために結球部を外葉で包みながら持ち上げ、ヒモ等で上部を縛る頭部結束が手作業で行われている。この作業は雇用労力に頼っており、また、長時間腰をかがめる労働負担が大きな作業でもあることから、外葉掻き上げと結束を行う歩行型のハクサイ頭部結束機を開発する。

    • (4) ISOBUS1)に対応した作業機ECUの開発
      (研究期間:2019~2021年度、革新コア技術実用化タイプ(標準化・共通化))
      [目的] 海外マーケットではISOBUSに対応したトラクターや作業機が標準となりつつある。国内においても、北海道の大規模畑作地域などで海外製大型トラクターの普及が進み、ISOBUS対応作業機への関心が高まっている。しかし、接続時に鍵となる作業機ECUが高額であり、国産作業機への対応が進んでいない。そこで、国産作業機へ搭載可能なISOBUS対応作業機ECUを作業機メーカーと共同開発する。

用語の解説

1)ISOBUS :AEF2)(解説2参照)が定義するISO 117833)(解説3参照)の実装基準。最低要件や汎用端末、タスクコントローラ、外部入力装置、緊急停止等の機能に分類されています。

2)AEF :国際農業電子財団(Agricultural Industry Electronics Foundation)の略で、ISO 11783普及促進活動をする業界団体です。統一解釈として「ISOBUS」仕様の定義、適合性の確認、認証試験、データベース公開、拡張仕様の検討等を行っています。

3)ISO 11783 :農業機械用車上ネットワークの通信制御の国際規格です。総ページ数は1000ページを超える膨大な文書で、技術の進歩に伴って更新されています。