プレスリリース
(お知らせ) 農業機械技術クラスター実施課題を新たに追加

情報公開日:2020年9月15日 (火曜日)

ポイント

  • 農業機械技術クラスターの実施課題を新たに3件追加し、計13課題としました。
  • 地域農業の機械化を支援する課題、次世代技術の実用化を目指す課題など、引き続き現場からの要望に応えてまいります。

概要

  農研機構農業技術革新工学研究センターでは、多様な現場ニーズに即応でき、かつ異分野の知見を取り込むことができるように、「農業機械技術クラスター事業」(以下、技術クラスター、https://www.naro.affrc.go.jp/org/brain/iam/cluster/index.html)を2018年4月より開始しました。スマート農業などの先端技術研究及び農業機械の安全性検査などとともに、関係機関との連携を従前以上に密にして業務を遂行する体制を整えました。

  技術クラスターで扱う共同研究課題は、①地域農業機械化支援タイプ、②革新コア技術実用化タイプ(民間における開発を一層加速化するための革新的実用化技術の共同研究)、③次世代革新基盤技術タイプの3つに分類しています。

  この度、新たに以下の3課題を追加しました。

    • (1) 茶園用除草機の開発
      (研究期間:2020~2022年度、地域農業機械化支援タイプ(茶園))
      [目的] 消費者の安全・安心に対するニーズの高まりから、有機栽培や減農薬栽培の茶の生産が求められている。しかし、茶園は樹冠1)下のスペースが狭く、既存の除草機が利用できない。そのため、茶栽培工程の中で除草作業に非常に多くの労力を要しており、規模拡大や増産のネックとなっている。このため、茶園の畝間及び樹冠下の除草が可能な、乗用型摘採機や茶園管理機に装着するアタッチメント式の除草機を開発する。

    • (2) イアコーン収穫スナッパヘッド2)の現地適応化
      (研究期間:2020~2022年度、革新コア技術実用化タイプ(畜産))
      [目的] 約9割を輸入に頼る濃厚飼料の自給率向上に向け、トウモロコシの雌穂3)を収穫し密封貯蔵して発酵させたイアコーンサイレージの生産・利用が注目されている。しかしながら、都府県でのイアコーン生産については、専用の収穫機械が海外製で機体が大きく高価なことが、導入を推進する上での障害となっている。このため、都府県のコントラクタに広く普及している汎用型飼料収穫機(緊プロ機)のアタッチメントとして、小型軽量で倒伏したトウモロコシへの適応性を高めたイアコーン収穫スナッパヘッドを開発する。

    • (3) ライスセンターのスマート化システムの開発
      (研究期間:2020~2022年度、革新コア技術実用化タイプ(土地利用型))
      [目的] 中小規模の穀物乾燥施設(ライスセンター)では、乾燥機や籾摺機等の個別機器は自動化されているものの、機器を連動させるシステムの自動化ができていない。そのため、機器管理に多くの作業人員を要しており、施設全体の自動化が期待されている。また、スマート農業の推進により、トラクタやコンバインのようなほ場機械のデータ連携が進んでいる一方で、ライスセンター内外でのデータ連携が進んでいない現状がある。このため、ライスセンターの自動化、情報化及びほ場情報との連携を目指したライスセンターのスマート化システムを開発する。


詳細情報

用語の解説

1)樹冠:茎、葉、花等を含む、地上にある植物の部分を指す。木質植物の樹冠は、幹や茎から伸びる枝や葉、花等から構成される。

2)スナッパヘッド:トウモロコシの雌穂(イア)、すなわち子実と芯のみをもぎ取り(Snap=ポキンと折ること)、収穫できる専用のアタッチメントのこと。(出典:イアコーンサイレージの生産利用技術の開発(農研機構プレスリリース)、https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/harc/013145.html)

3)雌穂(しすい):とうもろこしの一番上にでて花粉を飛ばす穂を雄穂(ゆうすい)といい、食用となる穂を雌穂という。