ポイント
- 農研機構を中心とする研究グループは、薬剤に抵抗性を持つ害虫1)を、遺伝子診断で早期に検出する技術を開発しました。
- コナガやワタアブラムシなど6種の重要害虫に適用できます。
- 害虫別にサンプリング手法や診断方法、代替防除法の提案などをまとめたガイドライン案を作成し、農研機構ウェブページで公開しました。
概要
害虫を防除するために同じ薬剤を続けて使用すると、その薬剤が効かない「抵抗性害虫」が出現し、やがて大勢を占めるようになります。抵抗性害虫の対策には、抵抗性個体群の早期発見と適正な薬剤使用が特に重要です。
そこで研究グループは、国内で発生している代表的な薬剤抵抗性害虫の抵抗性獲得原因となる遺伝子変異を同定し、その変異をPCR法で検出する技術2)を開発しました。この検出技術は感度が高く、地域内の個体群を適切にサンプリングすれば、被害が発生する前に、薬剤抵抗性遺伝子を持つ害虫の地域内での侵入や定着状況(リスクレベル)を判断することもできます。
今回、害虫防除指導者向けに、薬剤抵抗性遺伝子診断法、サンプリング手法、簡易生物検定法、抵抗性発達リスク判定の基準、代替防除法の提案をまとめたガイドライン案を、農研機構ウェブページ(以下URL)で公開しました(表1、図1、図2)。
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/121745.html
本ガイドライン案を用いることにより、地域ごとの作目や栽培様式に応じた薬剤抵抗性害虫対策の組み立てが可能になります。
関連情報
予算:農林水産省委託プロジェクト研究「ゲノム情報等を活用した薬剤抵抗性管理技術の開発」
問い合わせ先など |
研究推進責任者 : 農研機構 生物機能利用研究部門 昆虫制御研究領域長 中島 信彦 |