プレスリリース
(お知らせ)CSMT電磁探査法を用いた深層地下水調査マニュアル

- 沿岸域における効率的な深層地下水調査のために -

情報公開日:2018年12月12日 (水曜日)

ポイント

農研機構は、津波災害時や災害に備えた沿岸域の広域的な深層地下水水源調査を短期間で実施可能な調査手法を提案しています。今回、本提案手法のマニュアルを作成しました。

概要

津波災害などにより沿岸農村地域の浅層地下水が塩水化した場合、代替水源を深層地下水に求めることがあります。このような場合に短期間で広い範囲の調査を可能にするため、農研機構では2018年に、電磁波の送受信により地下構造を推定するCSMT電磁探査法1)を応用し、同時に複数点で測定を行う高能率な深層地下水調査法を提案しています。今回、本手法のマニュアルを作成しました。
本マニュアルでは、地下水の利用保全に携わる行政部局の技術者、民間事業者など向けに、本手法の適用範囲、調査計画における留意点、試作システムの操作法および調査事例等について記載しています。本マニュアル(PDF形式)は農研機構のウェブページ(以下リンク先)から無料でダウンロードできます。

CSMT電磁探査法を用いた沿岸域における効率的な深層地下水調査マニュアル

【関連情報】予算:運営費交付金


詳細情報

開発の社会的背景と経緯

津波や高潮災害などにより沿岸農村地域の浅層地下水が塩水化した場合、またはこのような災害に備えて、代替水源を深層地下水に求めることがあります。このような場合に短期間で広い範囲の調査を可能にするため、農研機構では2018年に、電磁波の送受信により地下構造を推定する電磁探査法を応用し、同時に複数点で測定を行う高能率な深層地下水調査法(図1)を提案しました(2018年6月30日平成29年度農村工学研究部門成果情報「CSMT電磁探査法を利用する沿岸域の高能率深層地下水調査法」)。
今回、本手法の普及を推進するため、提案手法の適用範囲、調査計画における留意点、試作システムの操作法などを整理したマニュアルを作成しました。

「CSMT電磁探査法を用いた深層地下水調査マニュアル」の特徴

地下水の利用保全に携わる国、地方自治体の行政部局の技術者、民間事業者など向けに、本手法の特徴(同時多点受信による高能率化: 図1、事前ノイズ調査による受信点評価: 図2)、適用範囲、調査計画における留意点、試作システムの操作法および調査事例等について記載しています(目次: 図3)。本マニュアル(PDF形式)は農研機構のウェブページから無料でダウンロードできます。

今後の予定・期待

本マニュアルにより、提案手法を適用できる場面や、調査計画立案から実施に至る流れがわかります。本マニュアルは、沿岸域で地下水障害が生じた際の緊急調査や、広域的な地下水資源調査への活用が期待されます。

用語の解説

  • 1) CSMT電磁探査法
    CSMT(Controlled Source MagnetoTelluric):人工の電磁波を信号源とする地磁気地電流法という電磁探査法です。電磁波の周波数を変化させて、地下浅部から深部にわたる電気比抵抗を測定し、地下構造や地下水の電気伝導度(塩水では大きく,淡水では小さい)を推定します。

発表文献

探査能率と耐ノイズ性能を高めたCSMT法電磁探査システム,地盤工学会誌,65(1),2017

参考図

図1 同時多点受信を行うCSMT電磁探査法

図2 事前ノイズ調査による受信点評価例

図3 マニュアルの目次