農研機構技報No.10
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「ちよひめ」、「はなよめ」の収穫が始まる6月中下旬(満開後約70日)以降に急激に増加し、「あかつき」、「白鳳」などの中生品種が出回る7月下旬にピークを迎えます(図2)2)。1kg当たりの価格は6月中旬以前には早い時期ほど高く、■ はじめに 農研機構におけるモモ育種は1935年より開始され、初期には缶詰用品種の改良に重点が置かれていました。「缶桃5号」、「缶桃12号」、「錦」など黄肉で肉質が不溶質※1の品種が育成されました。生食用品種の育種が本格化したのは戦後の1947年以降であり、果実品質が良く、日持ち性に優れ、栽培が容易な品種の育成を目標とした育種を行っています。これまでに、白肉で熟期が異なる「あかつき」、「ゆうぞら」、「さおとめ」、「ちよひめ」、「なつおとめ」、黄肉の「ちよまる」、「つきあかり」、ネクタリンの「ヒラツカレッド」、「ヒタチレッド」などの品種を育成してきました。「あかつき」は、2007年に「白鳳」を抜いて国内で最も栽培面積が多い品種になりました(図1)。 現在、日本で栽培されている代表的なモモ品種は、早生の「日川白鳳」、中生の「あかつき」、「白鳳」、晩生品種の「川中島白桃」です(図1)1)。モモの流通量は露地栽培のはくほうひかわはくほうかわなかじまはくとうかんとうにしきあかつき白鳳川中島白桃日川白鳳 なつっこ清水白桃浅間白桃まどか加納岩白桃みさか白鳳夢みずき一宮白桃おかやま夢白桃川中島白鳳黄金桃その他モモの旬別卸売数量と価格 (2020年、主要卸売市場計)図2日本のモモの品種別栽培面積 (2018年)図1(t)(1kg当たり円)卸売数量価格450004下5上5中5下6上6中6下7上7中7下8上8中8下9上9中9下10上10中10下100050015002000250030003500400040003500300001000500250020001500卸売数量価格1541ha1251ha1105ha788ha総計8428ha特集 品種開発Ⅲ 1末貞 佑子SUESADA Yuko黄肉の極早生モモ新品種「ひめこなつ」―満開後60日で収穫できる極早生品種を育成―6NARO Technical Report /No.10/2021

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