3湛4落または落水3回3湛4落出穂期前後に、3日間湛水-4日間落水の間断灌漑を計6回繰り返し。落水期間の降雨を考慮する必要はなし。落水3回天気予報をもとに降雨を避け、4日間の落水を出穂期前後に3回実施。各落水期間の間隔は3日以上。コメのヒ素・カドミウム低減のための水管理方法3日4日4日0.60.50.40.30.20.10.00.00.10.20.30.40.50.6しっかり中干ししっかり中干し(mg/kg)0.60.50.40.30.20.10.03湛4落落水3回0.00.10.20.30.40.50.6湛水管理出穂4日4日出穂1:1(mg/kg)湛水管理1:13週2週1週+1週+2週+3週3週2週1週+1週+2週+3週3湛4落および落水3回の水管理法による玄米の無機ヒ素とカドミウム濃度への影響3湛4落は、21地点のほ場における複数年栽培の結果。落水3回は、14地点のほ場における複数年栽培の結果。玄米無機ヒ素濃度の国際基準値は0.35 mg/kg、玄米カドミウム濃度は0.4 mg/kg。灰色に網かけした地点では湛水管理で玄米無機ヒ素濃度が0.35 mg/kgを超過。図3コシヒカリ(左)とカドミウム低吸収性の「コシヒカリ環1号」(右) (農研機構試験ほ場、茨城県つくば市)図4NARO Technical Report /No.11/202211玄米中カドミウム濃度土壌中の溶存カドミウム濃度も、再湛水により速やかに低下します。3湛4落を出穂期前後各3週間に計6回行うと、同時期に湛水管理した場合に比べ、玄米中無機ヒ素濃度は著しく減少します(図4左)。特に湛水管理で国際基準値を超えてしまうほ場(図4左の灰色の網掛け範囲に位置するプロット)は3湛4落により、玄米中無機ヒ素濃度の低下率が平均で47%に達しました。 出穂期前後6回の3湛4落を改良した落水3回管理も試行しています。これは、天気予報をもとに降雨を避けながら、4日間連続の落水を3回行う水管理です(図3下)。落水3回管理は省力的である上、3湛4落と同等の玄米中無機ヒ素低減効果が得られます(図4左)。落水を伴う水管理は玄米のカドミウム濃度を上昇させる傾向が見られるものの、大部分のほ場で国際基準値以下に抑えることが可能です(図4右)。また、このような落水管理は精玄米重と整粒歩合にほとんどの場合影響を与えません。ただし、コメ中のカドミウム濃度が高くなりやすいほ場では、3湛4落や落水3回管理により玄米中カドミウム濃度が上昇する場合があります。コメ中のカドミウム濃度が高くなりやすい地域では、後述のカドミウム低吸収性品種の導入と落水管理を組み合わせることが推奨されます。 なお、本水管理技術により、玄米中ヒ素濃度を確実に減らすためには、いくつか留意点があります。中干しの徹底とその後の落水管理をスムーズに実行するため、水田に溝を切り、排水口までつなげておく作業が必要です。落水3回管理は降雨を避けて落水しますが、落水期間に降雨があれば、降雨程度に応じた期間延長が必要です。玄米中無機ヒ素濃度
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