農研機構技報No.11
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活用による農場清浄化対策 ヨーネ病発生農場(12農場)において、全頭(計2,654頭)に従来の抗体検査と開発した遺伝子検査によるスクリーニングを行い、牛群のスクリーニング検査法としての有用性を比較しました2)。その結果、スクリーニング遺伝子検査によって最終的にヨーネ病患畜と診断される個体は、抗体検査の10倍にもなり、多数の抗体陰性排菌牛が検出されました(図5)。ヨーネ菌感染牛における糞便中への排菌は、抗体検査で陽性になる半年〜1年ほど前から■ ヨーネ病スクリーニング遺伝子検査法のプール糞便を用いたヨーネ病スクリーニング遺伝子検査法IC陽性図3NARO Technical Report /No.11/2022糞便希釈上清各1mlをプール遠心10頭プールまで図4DNA抽出キット(上)とPCR検査キット(下)上清を除く(濃縮)インターナルコントロール(IC)の増幅を指標として、PCR阻害による偽陰性を判別するリアルタイムPCR31プール糞便作製DNA抽出濃縮された糞便からも精製度の高いDNAが回収できるDNA抽出キット、ならびにヨーネ菌遺伝子を検出するPCR検査キットを民間企業と共同で開発し、製品化しました(図4)。また、これら検査法のマニュアルについては、農研機構動物衛生研究部門のウェブサイトにおいて公開しています3)。ヨーネ病スクリーニングPCRに検査を行うのと同等であり、最大10頭分の遺伝子検査を一度に行うことが可能です(図3)。一方、濃縮された糞便検体を用いるプール糞便検査の場合、糞便中に含まれる様々なPCR阻害物質の影響でPCR反応が阻害され、偽陰性となる可能性を考慮する必要があります。検査結果が偽陰性でないことを確認するために、インターナルコントロール※1(IC)を用いてリアルタイムPCR※2を行うこととし、陰性検体においては、ICの増幅が認められればPCR反応は阻害されていなかったと判断されます(図3)。

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